インターナショナル・ビジネス・マシーンズ(IBM)は4月24日に第1四半期決算を発表しましたが、その際、エンタープライズAIとクラウド市場の拡大を見据え、インフラ・オートメーション企業ハシコープ(HCP)を64億ドルで買収する意向を発表しました。
この買収はIBMにとって、ハイブリッド・クラウド・プラットフォームを強化し、AI時代に向けた競争力を高める戦略的な一歩と言えます。買収価格は1株あたり35ドルで、ハシコープの企業価値は64億ドルに達します。この取引は年内に完了する見込みで、市場ではポジティブな反応が見られており、ハシコープの株価は時間外取引で4.6%上昇しています。
第1四半期の業績と市場の反応
一方で、IBMの最新の四半期の売上はアナリストの予想にわずかに届かなかったことが報告されています。第1四半期の総売上は144億6000万ドルで、予想された145億3000万ドルには少し及びませんでした。特に注目されるのは、コンサルティング事業の成長が減速している点です。エバコア ISIの分析によれば、コンサルティング事業の恒常為替レートベースの成長率が、前期の5%から3%へと低下しています。これが24日の時間外取引でIBMの株価を8.3%押し下げた主な要因と見られています。
経営陣の見解と未来展望
IBMのCEO、アルビンド・クリシュナ氏は、「IBMは顧客からのエンタープライズAIに対する興奮と需要を活用している」と述べ、AI中心のバックログが10億ドルを超えていることを強調しました。CFOのジェームズ・カバノー氏も、「事業の基本に注力し続け、売上拡大、営業利益率の拡大、利益パフォーマンスの改善、生産性と営業レバレッジの向上を実現した」と強調しています。これらの声明から、IBMは市場シェアの獲得と、年が明ければ加速度的な成長が期待できるとの見通しを示しています。
まとめ
IBMのこの四半期の動向は、市場の変動と戦略的な取り組みのバランスを求める試みと言えます。ハシコープの戦略的買収はIBMにとって長期的な成長潜在力を確保する一方で、四半期ごとの売上減速は短期的な市場の反応を試すものとなります。今後のIBMの動きから、AIとクラウド市場におけるその戦略的な地位がさらに明確になることが期待されます。
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