3月20日、アステラ・ラブズ(ALAB)が新たに株式市場にその名を刻み、約55億ドルの評価額でそのデビューを果たしました。同社の事業は、人工知能(AI)インフラストラクチャーという非常に注目されている分野に位置づけられています。19日遅くの発表では、普通株式1980万株が1株36ドルで売り出され、合計で7億1280万ドルが調達されたことが明らかにされました。この価格設定は、初期の目標範囲であった27ドル〜30ドルを大幅に上回るものでした。20日の市場で株価は高騰。公開価格36ドルを46%上回る1株52.56ドルで取引を開始しました。その後も株価は上昇し63.37%高の58.81ドルで取引されています(米国東部夏時間01:55PM現在)。
アステラ・ラブズは、クラウドやAIのインフラを支える半導体ベースのコネクティビティ製品を製造しており、業界大手のエヌビディア(NVDA)、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)、インテル(INTC)からの強力な支持を得ています。これらの企業は、アステラ・ラボの主要な顧客であり、AMD、インテルは出資者でもあります。このIPOにおける高価格設定は、AIへの投資に対する投資家の意欲を試すものとなりそうです。
2023年の業績を見ると、アステラ・ラブズの純損失は前年の5,830万ドルから2,630万ドルへと減少し、売上高は7990万ドルから1億1580万ドルへと大幅に増加しています。この売上高の増加は、同社の技術と市場への適応能力を示しています。
アステラ・ラブズのIPOと売上高から算出される株価売上高倍率(PSR)は約47倍に達しています。これは、同業他社であるマーベル・テクノロジー(MRVL)の6.4倍と比較して非常に高い数字です。しかし、アステラ・ラブズが持続可能な売上高成長率を維持できれば、今年の株価売上高倍率は33倍程度にまで圧縮される可能性があります。
特に注目すべきは、2023年第4四半期の成績です。同期間に50万ドル以上の売上を上げ、その成長が加速していることが示されました。ただし、上位3社の最終顧客が昨年の売上の約70%を占めるなど、集中リスクの高さも指摘されています。
今回の株式売り出しは、アステラ・ラブズ自身による1,680万株と、既存株主による約300万株の合計で構成されています。同社の株式は、20日にナスダック・グローバル・セレクト・マーケットでティッカーシンボルALABで取引が開始されています。
アステラ・ラブズのIPOは、今週予定されているレディットの上場と並んで、年後半に他の大規模な企業がIPOを申請するかどうかの重要な指標となります。この二つの売り出しは、テクノロジー分野における市場の動向と投資家の関心のバロメーターとして機能すると見られています。