カナダ公的年金による半導体セクターへの巨額投資:エヌビディア、AMD、インテルの展望

アメリカの半導体産業は近年、技術革新と市場動向の変化により、投資家から注目を集めています。その中でも、カナダのケベック州地方金融公社(Caisse de dépôt et placement du Québec、CDPQ)の最近の投資戦略は、市場に大きな影響を与えています。CDPQは12月31日時点で3200億ドルの純資産を運用しており、カナダの公的年金としては2番目に大きく、資産規模では世界20位以内に入ります。CDPQは、証券取引委員会に提出したフォームで最新の株式ポジションを開示しました。

エヌビディア:暴騰する株価と将来性

CDPQが特に注目したのは、エヌビディア(NVDA)です。2023年には驚異の239%の上昇を記録し、2024年に入っても77%の上昇を見せています。エヌビディアの株価急騰は、市場が同社の人工知能(AI)技術に対する期待を反映しています。その結果、エヌビディアの時価総額は2兆ドルを超え、創業者兼CEOのジェンスン・フアン氏の個人資産も700億ドル近くに達しました。CDPQはエヌビディア株を373,497株買い増し、210万株で第4四半期を終えています。

インテルとAMD:異なる動きを見せる半導体大手

一方、インテル(INTC)アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)は異なる動きを見せています。CDPQはインテルの株を300万株買い増し、保有株を1010万株に増やしましたが、インテルは半導体市場の減速を背景にオハイオ州のプロジェクトを延期しました。インテルの株価は過去1年で62%上昇していますが、今年に入ってからの動きは冴えず、年初来で12%下落しています。

一方、AMDの株価は昨年128%上昇し、2024年に入ってからも41%上昇しています。1月末に発表されたAMDの見通しによる一時的な失望から回復し、時価総額は3000億ドルを超えました。先週は史上最高値を更新しています。CDPQはAMD株を8万1728株買い増し、24万7625株で第4四半期を終えています。

マイクロン・テクノロジー:減速する投資と潜在的なカタリスト

マイクロン・テクノロジー(MU)に対しては、CDPQは投資を半減させました。4万3287株を売却し、投資残高を26万5294株に減らしています。マイクロンは、中国企業からの特許侵害訴訟や技術紛争の最前線に立つなど、一定の不確実性に直面しています。それにもかかわらず、マイクロンの株価は2023年に71%上昇し、AI技術に関連する潜在的なカタリストにより、2024年に入ってからも14%の上昇が見られます。

まとめ:CDPQの半導体株戦略の意味

CDPQの最近の動きは、半導体産業の将来性と現在の市場動向を反映しています。特にエヌビディアのようなAI技術の先駆者への投資の増加は、その技術革新と市場での地位強化を示しています。インテルやAMDへの投資は、これらの企業が直面する挑戦とチャンスを捉えた戦略的な選択です。そして、マイクロンへの投資を減らしたことは、技術紛争という外部環境のリスクを考慮した結果と言えます。

CDPQのような大手投資家の戦略は、市場に大きな影響を与え、他の投資家にとっても重要な指標となります。半導体産業の未来を見据え、これらの企業の動向に注目することは、投資戦略を練る上で不可欠です。

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