エヌビディアの壮大な野望:ASIC市場への進出とその意味

エヌビディア(NVDA)は、人工知能(AI)グラフィックスカード市場でのその圧倒的な市場支配力を背景に、驚異的な成長を遂げています。同社の市場シェアは推定92%に達し、過去1年間で株価は240%増という類稀な上昇率を記録しました。しかし、この成功物語は一筋縄ではいかない可能性があります。エヌビディアは、カスタムAIチップ開発を進めるテック大手からの潜在的な脅威に直面しています。

テック大手によるカスタムAI半導体の台頭

マイクロソフト(MSFT)、アマゾン(AMZN)、メタ・プラットフォームズ(META)、アルファベット(GOOGL)などの企業は、長年にわたりエヌビディアのGPUに依存してきましたが、現在はカスタムAI半導体の開発を加速しています。これらの企業は、高価なAI GPUの代替として、よりコスト効率の高いカスタムAI半導体を求めています。特に、エヌビディアのフラッグシップAIグラフィックカード「H100」の高価格と供給の問題は、これらの企業を自社製半導体の開発に向かわせる大きな動機となっています。

エヌビディアの対応策

そんな中、エヌビディアが特定用途向け集積回路(ASIC)と呼ばれるカスタム半導体市場への参入を模索していることが報じられています。この半導体はエネルギー効率に優れながら特定の処理を高速に実行することだけに特化しています。半導体研究グループのSemiAnalysisは、ASICの開発に成功すれば、エヌビディアの顧客が数億ドルを節約できるようになると見積もっています。

この市場は現在、ブロードコム(AVGO)やマーベル・テクノロジー(MRVL)などの企業がリードしており、急速に成長しています。マーベルは今年度、ASICの販売で10億ドルの売上を上げる可能性があり、ブロードコムは、ある試算によると、2024年に80億~90億ドル相当のASCIを販売する見込みです。この2社は合わせてASIC市場の47%のシェアを握っていると見られます。

ニーダムは、ASIC市場全体の昨年の市場規模は推定300億ドルだと見積もっています。ハイエンドのカスタムASICの売上は昨年130億ドルから180億ドルだったと報告されており、AIはすでにこの分野で大きな地位を占めています。モルガン・スタンレーは、2027年までに1,820億ドルのAI半導体市場の30%をASICが占める可能性があると予測しており、この分野には550億ドルの潜在的な売上の機会があると指摘しています。

2月9日付のロイターの独占記事によると、元マーベルの幹部がエヌビディアのカスタム半導体部門を率いており、エヌビディアは、アマゾン、マイクロソフト、メタ、OpenAI、グーグル向けにカスタムチップを製造するため、すでに話し合いを行っているとのことです

投資家にとっての意味

エヌビディアがカスタムASICの分野に本格的に参入することに成功すれば、投資家にとってさらなる魅力的な投資機会が生まれることになります。同社は現在、将来利益の35倍という魅力的な水準で取引されており、5年平均の将来株価収益率42倍よりも割安です。これは、エヌビディアの長期的な成長ポテンシャルに対する市場の期待が高いことを示しています。

まとめ

エヌビディアは、AIグラフィックスカード市場での圧倒的な支配力を背景に、新たな挑戦に直面しています。テック大手によるカスタムAI半導体の開発は、エヌビディアにとって大きな脅威であり、市場のダイナミクスを変える可能性があります。しかし、同社がこの新たな市場に適応し、自身の技術と製品ラインナップを拡張することで、エヌビディアはその競争力をさらに高めることができます。投資家にとっては、エヌビディアの動向を引き続き注視することが重要です。

*過去記事はこちら  エヌビディアNVDA

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