アーム・ホールディングス(ARM)は、米国株市場における人工知能(AI)関連銘柄の中でも特に注目を集めている銘柄のひとつです。2月8日に発表された決算報告で予想を大きく上回って株価は一時大きく上昇しました。しかし、アームのこれからの成長可能性については、依然として多くの疑問が投げかけられています。
株価の動向
アームの株価は、予想を大きく上回る決算報告を受け、2月8日の時間外取引で一時は59%もの大幅な上昇を見せました。しかし、9日の通常取引では1.16%高と前日の時間外取引におけるような高騰は見せていません。
スマートフォンからデータセンター、自動車へ
かつてアームは、主にスマートフォン市場向けのCPU(セントラル・プロセッシング・ユニット)のライセンス設計を手掛けており、エヌビディアが製造するGPU(グラフィック・プロセッシング・ユニット)に重点を置いていた初期のAIとは相容れないと思われていました。しかし、現在では、プレミアムスマートフォンにAI機能が搭載されるようになり、アームの最新チップ設計が必要とされています。さらに、クラウドサーバーや自動車分野でも、アームの技術が活用され始めています。
アナリストの見方が変わった
J.P.モルガンのアナリスト、ハーラン・スール氏は、「AIが複数のエンドマーケットで普及するにつれて、より多くの計算能力/知的財産に対する要求が高まり、アームに利益をもたらす」と評価しています。同氏はアームの目標株価を70ドルから100ドルに引き上げ、「オーバーウェイト」の格付けを維持しました。アームの株価は2月9日終値で115.21ドル。スール氏の新しい目標株価と同社をカバーするアナリストの平均目標株価91.49ドルをすでに上回っています。
ロックアップ期間の終了と評価額
注意しなければならないのは、アームはまだ日本のソフトバンクグループが90%以上所有していることです。このことは、株価をある程度下支えする一方で、取引可能な株式数が比較的少ないため、取引の動きが誇張される可能性があることを意味します。2月8日のアームの取引量は1億650万株で、公開株数は10億株強、65日間の平均取引量は840万株となっています。インサイダーによる株式売却を禁止するアームのIPOのロックアップ期間は3月12日に終了するため、取引可能な株式の増加が期待できます。
一方で、アームのバリュエーションは極めて高く、将来の株価収益率ベースで約79倍の倍率で取引されています。これは、アームがさらに成長するためには高いハードルがあることを意味しています。
アームの未来と課題
アームは現在、AI分野の勝者としての地位を確立していますが、その地位を維持するためには、スマートフォン以外のAI用途へのチップ設計のライセンス拡大、オープンソースのRISC-Vチップアーキテクチャーからの競争への対応など、さまざまな課題に取り組む必要があります。
まとめ
アーム・ホールディングスは、AI技術の進化とともに、その価値を高め続けています。しかし、その成功を継続するためには、多くの課題を乗り越えていく必要があります。投資家としては、これからのアームの動向を注視し、その成長潜在力を正確に評価することが重要です。
*過去記事「アーム株が急騰!AI革命の先駆者としての躍進を解析」