エヌビディア(NVIDIA)の株価が、過去最高値を記録した翌日である1月31日に下落しました。
31日の株価変動
31日の取引でエヌビディアの株価は2%下落し、終値は615.27ドルでした。前日には0.5%高の627.74ドルで引け、終値としての上場来最高値を記録していましたが、30日に発表されたアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)の決算の内容の影響を受けたものと見られます。
AMDの影響
AMDは、AI半導体の販売見込みを引き上げたにもかかわらず、市場を失望させる見通しを示しました。AMDの31日の終値は2.54%安の167.69ドルとなっています。
AIデータセンター市場での競争
AMDはAIデータセンター向けチップ「MI300」の今年の売上見込みを20億ドルから35億ドルに引き上げました。ファクトセット調べのアナリストのコンセンサス予想によると、2024年のデータセンター事業の売上高は112億ドルになると予想されています。エヌビディアの全データセンター製品の売上高が784億ドルになると予想されていることと比較すると、両社の数字には大きな違いがあります。
オッペンハイマーの分析
オッペンハイマーのアナリスト、リック・シェーファー氏は、エヌビディアのA100/H100/B100アクセラレータとCUDAソフトウェア・エコシステムに対抗する試みにおいて、MI300が苦戦を強いられていると分析しています。
テクノロジー企業の決算とエヌビディアへの影響
マイクロソフト(MSFT)とグーグルの親会社アルファベット(GOOGL)の決算で明らかになった内容は、エヌビディアにとって好材料であった可能性があります。マイクロソフトはクラウドとAIインフラへの投資増加を、アルファベットは2024年の資本支出の大幅な増加を決算で予想しています。両社はエヌビディアの主要顧客であり、その動向はエヌビディアに大きな影響を与える可能性があります。
アルファベットとマイクロソフトの自社製AI半導体
アルファベットは自社のAI製品がカスタムTPU(テンソル・プロセッシング・ユニット)によって支えられていることに言及しましたが、これはグーグル独自のTPUの製造のために、エヌビディアとブロードコム(AVGO)の製品が多く使われていることを示唆しているとメリウス・リサーチのアナリスト、Ben Reitzes氏は指摘しています。
一方でD.A.デビッドソンのアナリスト、ギル・ルリア氏は、マイクロソフトが自社製AI半導体「Maia 100」の展開を加速させ、エヌビディアなど他のチッププロバイダーへの依存度を下げようとしていることも予想しています。
*過去記事はこちら エヌビディアNVDA