1月30日のマーケット終了後に23年10〜12月期決算を発表したアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)。同社はAI半導体事業の2024年の売上見込みを従来の20億ドルから35億ドルまで大幅に上方修正しましたが、ウォール街の反応は一筋縄ではいかないものがありました。
ウォール街の期待と株価の動向
AMDの株価は、この発表にも関わらず、時間外取引で6%の下落を見せました。これは、これまでの株価の急騰により、投資家の期待が非常に高まっていたことが一因と考えられます。サスケハナのアナリストによると、投資家は実際には60億ドル、またはそれ以上の売上を期待していたようです。AMDの株価は前回の決算報告以来、約80%の上昇を記録しており、HSBCのアナリストはこの急騰が「期待を大きく高めた」と分析しています。
AMDの四半期見通しと業績
一方で、AMDは現在進行中の24年1〜3月期の全体的な見通しを下方修正しました。ファクトセット調べのアナリスト予想が57億だったのに対し、中間値で54億ドルの売上を見込んでいます。データセンター事業の売上は前四半期比で横ばいを見込んでおり、「サーバー売上の季節的な落ち込みが、データセンター向けGPUの良好な立ち上がりによって相殺される」と述べています。リサ・スーCEOは、データセンター向けGPUの売上が第1四半期に前四半期比で伸びるとの見通しを強調しました。
その他の事業分野の業績
AMDは、クライアント事業、組み込み事業、ゲーム事業で前四半期比の減収を見込んでいます。特に、セミカスタム事業では「2桁の大幅な減収」となる可能性があります。ただし、第4四半期の純利益は前年同期比で大幅に増加し、調整後ベースでは1株当たり77セントとなり、これは市場のコンセンサスと一致しています。
まとめ
AMDのAI半導体事業の売上予測の大幅な上方修正は、同社の技術進歩と市場での存在感を示しています。しかし、株価の動きと市場の反応は、投資家の期待値と現実とのギャップを浮き彫りにしています。
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