エヌビディア(NVDA) は、その最新の決算報告で再び脚光を浴びています。第3四半期の売上は181億ドルに到達し、前年同期比で206%増という驚異的な成長を遂げました。GAAP及び非GAAP基準の純利益はそれぞれ6倍、12倍に急増しています。
この成長の秘訣は、データセンター部門にあります。GPU(グラフィックス処理ユニット)と半導体を扱う同部門は、高性能コンピューティングとAIブームを支えています。わずか1年前にはこのセグメントの売上は減少していましたが、その後4四半期で4倍、過去半年で3倍以上に増加し、総売上の中で145億ドルを占めるまでになりました。
一方で、ゲーミング部門も前年比55%増の28億ドルを記録していますが、これはデータセンターの影に隠れがちです。AIブームとそれに対応する半導体への需要の高まりにより、エヌビディアは1兆ドルの市場価値を持つ企業として急速に成長しています。
データーセンター事業の成長の持続性
しかし、このような急成長に疑問が生じています。データセンター事業の成長は継続できるのか?これは、エヌビディアの投資家やアナリストが考えなければならない最も重要な問題です。
エヌビディアのCEO、ジェンスン・フアン氏は、少なくとも2025年までこの分野での成長を見込んでおり、楽観的な見通しを示しています。ChatGPTやMicrosoft Copilotのような現在のAIアプリケーションの登場は、まだこの革命の序盤に過ぎないとの考えです。
フアン氏は「AIファクトリー」の構築について語り、企業や政府が独自のAIを開発できるビジョンを描いています。これはAI処理の需要が増加し続ける未来を示唆しています。
競争に関しては、エヌビディアは中国向けのGPU出荷制限による影響を受けていますが、中国以外の地域での成長がそれを補っています。競合他社との比較では、AIの世界がトレーニングから推論へ移行する中で、エヌビディアはその優位性を維持しています。AIトレーニングが市場を牽引していますが、AI推論の実用例も増加しています。
基本的にすべてのAI開発者がエヌビディアの GPUとそのCUDAソフトウェア開発スタックでコードを書いてテストしているため、同社は大きな優位性を持っています。この分野で競合する企業は、ハードウェア・レベルで競争するだけでなく、効率的な開発と信頼性を提供できるソフトウェア・レイヤーでも競争しなければなりません。
デバイス上でのAI処理の台頭
注目すべき潜在的な分野の1つは、デバイス上でのAI処理です。ユーザーがラップトップ、PC、スマートフォンにより多くのAIアプリケーションを求めるようになるにつれ、インテル(INTC), クアルコム(QCOM)、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)は、自社のコンシューマー向け半導体のAI向け性能を高めてます。これが普及すれば、データセンターでのエヌビディアのAI半導体への需要が減少する可能性もあります。
AMDは短期的に最大の競争相手です。CUDA開発スタックから移行するためには、ソフトウェア側でまだかなりの作業が必要ですが、AMDが最近発表したAI半導体のMI300ファミリーは、マイクロソフトからAzureクラウドの実装をサポートするという強力な発表があり、順調に立ち上がっているようです。AMDのリサ・スーCEOは、同社が早期に10億ドルの売上を追加できると確信しています。
また、インテルもHabana LabsのGaudiブランドのAI専用半導体で競争していますが、データセンターでエヌビディアに取って代わろとうする試みは引き続き苦戦を強いられています。
まとめ
これらの競争状況を踏まえ、エヌビディアは製品リリースサイクルを加速させ、新しい半導体をより早く市場に投入しようとしています。発売するたびに性能と機能を向上させることで、市場の先頭を走り続ける意志を同社は示しています。AI処理の需要が安定するか減少するのではなく、むしろ増加し続ける未来が予想される中、エヌビディアの成長とイノベーションの旅はまだまだ続きます。
*過去記事はこちら エヌビディアNVDA