台湾半導体製造大手、TSMC(ティッカー:TSM)の最新の月次売上高が投資家たちの注目を集めています。10月の売上高は前年同月比16%増、9月比35%増という驚くべき成長を見せました。この数字は、チップ市場の回復を示唆するものとして、一部の強気派によって解釈されています。しかし、J.P.モルガンの分析によると、これは必ずしも需要の増加を意味するものではないかもしれません。
TSMCの売上高増加の背景
TSMCは、世界最大のサードパーティ半導体チップメーカーとして、ハイエンド・チップ市場を牽引しています。特に、アップル(AAPL)のiPhoneメインプロセッサーやクアルコム(QCOM)のモバイルチップセット、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)のプロセッサーの製造で知られています。TrendForceによると、TSMCはサードパーティ製チップ製造事業において約56%の市場シェアを誇り、サムスンがこれに続いています。
市場分析と展望
アナリストのゴクル・ハリハラン氏によると、チップ・ウェーハの受注が売上に反映されるまでには通常3~4ヶ月かかるとされています。これは、10月の売上高が好調なのは、最新のiPhone用プロセッサーや新しいM3プロセッサー搭載のMacの製造が本格化するタイミングと一致する可能性が高いことを示唆しています。
同アナリストは「他の(それほど先進的でない製造)ノードの需要回復はまだかなり緩やかであり、注文の急変があっても、サイクルタイムが長いためTSMCの4Q23の売上高に反映される可能性は低い」と指摘しています。
株価への影響
TSMCの株価は、このニュースに反応して11月14日の取引で2.6%上昇し、98.9ドルあまりで取引されています。これは、投資家が市場の動向を敏感に捉え、積極的に反応していることを示しています。
*過去記事「TSMCの業績上向き、半導体業界の未来に明るい兆し」