投資に関して未来を予見することは不可能ですが、金利の動向と経済の流れを精査し、その中で投資価値を見出す方法は存在します。ウルフ・リサーチが注目する「ポジティブなプライスアクションを伴うダブル・ビート」という概念が、金利上昇期における銘柄選定のカギを握るかもしれません。
該当するのは、第2四半期、第3四半期ともに予想以上の売上と利益を上げただけでなく、決算発表後に株価も上昇した企業です。
金利上昇と経済低迷のなかで輝く企業とは?
ウルフ・リサーチによると、金利のさらなる上昇と景気の後退が予想される中で、売上と利益の両面で市場予想を上回り、株価も上昇している企業に注目が集まっています。これらの企業は、他の同業企業よりも輝く可能性が高いとされています。
特に、高いフリーキャッシュフローの利回りを誇る企業は投資家にとって魅力的です。ウルフ・リサーチのチーフ投資ストラテジスト、クリス・セニェック氏は、「金利上昇の影響とFRBの累積的な利上げにより、米国経済がハードランディングする可能性がある」と述べています。インフレの持続とFRBの政策により、金利は当初の予想よりも高く、また長期にわたって維持されるとの見解を示しています。
投資戦略:高フリーキャッシュフロー利回り企業の選定
セニェック氏は、フリーキャッシュフロー利回りが4%以上の企業に投資することを推奨しています。この利回りは、企業の現金生産能力がどれだけ高いかを示す指標であり、企業が持続可能な配当や成長投資に適しているかを判断する基準となります。
フリー・キャッシュ・フロー利回りとは、企業のフリー・キャッシュ・フローを時価総額で割ったもので、投資家がその企業がキャッシュを稼ぐ力をどの程度評価しているかを示す指標です。フリー・キャッシュフロー利回りが高いということは、通常、その企業が配当の維持や増配、設備投資の増強に適した状態にあることを意味します。
投資先として注目の銘柄群
ウルフ・リサーチがS&P 500構成銘柄をスクリーニングした結果、50以上の銘柄が選ばれました。
- プロクター・アンド・ギャンブル(PG)
- コカ・コーラ(KO)
- クロロックス(CLX)
- ユナイテッドヘルス・グループ(UNH)
- ゼネラル・エレクトリック(GE)
- スリーエム(MMM)
- F5ネットワークス(FFIV)
などが代表的な銘柄です。
これらの企業は、フリーキャッシュフロー利回りと株価上昇の両方で強いパフォーマンスを示しています。
一方で、アマゾン(AMZN)のような大企業も最初のスクリーニングを通過したものの、フリーキャッシュフロー利回りが1%と低いため、今回の基準には合致せず、「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる7大テクノロジー企業で該当する企業は1社もありませんでした。
「7大メガキャップのファンダメンタルズのいくつかは、弱体化の初期段階にあると我々は考えている」と述べるセニェック氏は、「投資家は7大ハイテク株以外にも目を向ける必要がある」とアドバイスしています。
まとめ:多様な投資選択肢を検討
今後、FRBの政策やインフレ状況を見極めつつ、フリーキャッシュフロー利回りの高い企業に焦点を当てることで、投資の質を高められます。今こそ、「現金が王様」という古い格言に従い、賢明な投資判断を下す時かもしれません。