台湾セミコンダクタ・マニュファクチャリング(TSMC)は、10月19日に発表した2023年7〜9月期決算の決算報告で業績上方修正を発表、半導体業界にとってポジティブなニュースとなっています。
TSMCのQ3業績と2024年の展望
TSMCは、最新のチップ技術への増加する需要が、家電需要の落ち込みによる半導体の供給過剰を相殺していると説明しました。第3四半期の売上高は前年同期比11%減となったものの、前四半期比では14%増となりました。
TMSCの第3四半期の純利益は2110億台湾ドル(65.1億ドル)となり、コンセンサス予想の1909.4億台湾ドルを上回りました。 米ドルベースの売上高は173億ドルでした。
TSMCは第4四半期について、売上高は188億ドル〜196億ドルの範囲に上昇すると予測しています。
ウェンデル・ホアン最高財務責任者(CFO)は声明で、「2023年第4四半期に向けて、われわれの事業は、顧客の継続的な在庫調整によって一部相殺されるものの、3ナノメートル技術の継続的な力強い立ち上がりによって支えられると予想している」と述べています。
ハイエンド・チップ市場でのリーダーシップ
TSMCは、アップル(AAPL)、クアルコム(QCOM)、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)などの主要企業にハイエンド・チップを供給するなど、その技術力と市場での位置づけは揺るぎないものがあります。最新のチップ技術と高品質な製品で市場をリードしており、今後もその動向が注目されます。
未来の展望とインテルへのインパクト
TSMCの業績発表は、来週10月26日に決算発表を予定しているインテル(INTC)にとってもポジティブなサインかもしれません。チップ製造のライバルであるサムスン電子も、予想を上回る業績を発表しており、PCとスマートフォンの販売減速による在庫過剰が緩和されつつあるという兆しを示しています。
AI半導体のインパクト
TSMCは、人工知能技術のブームから恩恵を受けると期待されていますが、AIシステムを駆動するチップは、今年7月時点で同社の売上高の6%を占めるに過ぎず、事業のごく一部に過ぎません。
魏哲家・最高経営責任者(CEO)は決算説明会で、「AI関連の需要は引き続き好調だが、当社の事業全体の循環性を相殺するには不十分だ」と述べています。
北米市場での売上高の増加
北米市場での売上高が全体の69%を占めており、第2四半期の66%から上昇しました。同社はアリゾナ州の製造拠点に400億ドルを投資しており、2025年からアップルにチップを供給する予定です。この動きは、北米市場でのTSMCの存在感を一層強化するものと期待されています。
まとめ
TSMCの最新の業績報告と明るい未来の展望は、半導体産業全体にポジティブな影響を与えています。最先端の技術と堅実な業績で市場をリードするTSMCの動向に、今後も目が離せません。