2023年、AIの領域で圧倒的なパフォーマンスを示しているのがエヌビディア(NVDA)です。その高性能グラフィックカードはAIモデルのトレーニングにおいて中心的な役割を果たしています。
しかし、そのエヌビディアに匹敵、あるいはそれを凌ぐポテンシャルを秘めていながら、まだあまり知られていない企業があります。それが米国のコンピュータシステムメーカー、スーパー・マイクロ・コンピュータ(SMCI)です。
年初来で253%上昇とエヌビディアの213%を上回る株価の上昇を見せている同社ですが、AIハードウェア市場で今後さらに大きな成長が期待できる5つの理由があります。
目覚ましい成長
スーパー・マイクロは、データセンター、5Gモバイルネットワーク、クラウドコンピューティング、AIサーバーなど、さまざまなアプリケーションに対応する高性能サーバーとストレージソリューションを販売しています。同社は、サーバーのエネルギー効率を高めるモジュラー設計の構築に注力することで、他のサーバーメーカーとの差別化を図っています。
このため、スーパー・マイクロのサーバー・ソリューションは、AIのような電力を大量に消費するアプリケーションに最適です。AIアプリケーションを動かすGPUは、中央演算処理装置(CPU)を動力源とする従来のデータセンターよりも10倍から15倍のエネルギーを必要とすると報告されています。このため、スーパーマイクロの製品に対する需要が急増し、ここ数年で急成長を遂げています。
驚異的な財務パフォーマンス
同社の2023会計年度(6月30日に終了)の売上高は、前年比36%増の71億ドルとなりました。スーパー・マイクロの通期の非GAAPベースの利益は1株当たり11.81ドルで、2022年度の5.65ドルの2倍以上となっています。2024年度ガイダンスは、同社が今年も素晴らしい業績を見込んでいることを示唆しています。
同社は今年度の売上高を中間値で100億ドルと予想しています。これは同社の2023会計年度の売上高を41%上回ることになります。しかし、スーパー・マイクロの経営陣は最新の決算説明のための電話会議で、特に前期が「過去最高の受注残」で終了したことを考慮すると、「供給可能性次第ではもっと提供できる余地がある」と発言しています。
AIサーバー市場の拡大
市場調査会社TrendForceによれば、2023年にはAIサーバーの出荷台数が40%急増すると予測されています。これに伴い、スーパー・マイクロの製品への需要も増加が期待されています。
TrendForceは、2026年までの年間成長率を22%と予測しています。一方、フォックスコンのリウ・ヤンウェイ会長は、AIサーバー市場は2027年に1500億ドルの年間売上高を生み出すと予測しています(今年の推定売上高は300億ドル)。
株価の割安なバリュエーション
スーパー・マイクロの現在の株価売上高倍率は2.1となっています。これはS&P500指数の平均売上高倍率2.4倍よりも低く、AI銘柄として非常に高く評価され、33倍となっているエヌビディアと比較すると、非常に割安な評価で取引されています。
未来への展望
スーパーマイクロは、マレーシアの新しい施設を通じて、コスト削減とスケールビルドを実現し、売上増を図る計画です。あるアナリストの予想によると、2026年度には売上高が137億ドルに跳ね上がると見られています。
これに現在の株価売上高倍率2.1をかけると3年後の時価総額は290億ドル近くになり、これは同社の現在の時価総額が2倍以上になることを意味します。
まとめ
AI市場の急成長と、それに伴うエネルギー効率の良いサーバーへの需要増加は、スーパー・マイクロにとって大きなビジネスチャンスとなっています。割安な評価と、堅実なビジネスモデル、明るい成長見通しを考慮すると、同社の株は今後数年で大きなリターンをもたらす可能性が高いと考えられます。
*過去記事はこちら スーパー・マイクロ・コンピュータ SMCI