アマゾン・ドット・コム(AMZN)の株価は9月中旬から15%も下落しています。
個人消費低迷の懸念や、燃料価格の上昇による配送コストへの影響、そして米連邦取引委員会(FTC)による独占禁止法違反による提訴などなど、同社を取り巻く環境への懸念が株価に反映していると思われます。
しかし、そんな中でも2人のアナリストがアマゾンの株価を分析し、決算を前にした最近のアマゾンの株安を利用することを投資家に勧めるレポートを10月3日に発表しています。
みずほ証券、ジェームス・リー氏の評価
みずほ証券のアナリスト、ジェームス・リー氏は、アマゾン株の「買い」の格付けと目標株価180ドルを継続し、同株をトップピックに据えたことを発表しました。
リー氏はリサーチノートの中で、販売チャネルに確認したところ、AWSサービスへの需要は6月期に大幅に改善した後、安定していることが分かったと述べています。
同氏は、2024年の早期予算策定は、AWS需要が来年に加速することを示していると評価し、金利の変動が、より多くのコンピューティング能力をクラウドにシフトさせる戦略的決定に影響を与えるとは考えていません。
また、同氏は、顧客は一般的に、クラウド支出の最適化プロジェクトで最近節約した分を、大規模言語モデルのテストやデータのクラウドへの移行など、新しい分野に再投資していることも指摘し、以下のようにコメントしています。
企業顧客はコスト最適化からデータ戦略へと優先順位を移しつつあり、ほとんどの顧客はまだクラウドの指標を下回っている。特に、地方銀行が今年前半に直面した金利リスクと預金逃避を抑えるために、クラウドで最新のリスク管理技術にアクセスするパイプラインが強力だと聞いている。
J.P.モルガン、ダグ・アンマス氏の評価
J.P.モルガンのアナリスト、ダグ・アンマス氏も同様に、アマゾン株の格付けを「オーバーウェイト」、目標株価を180ドルと発表しました。
リサーチノートの中で、同氏はアマゾン株に対する投資家の懸念の長いリストを見直し、最大の問題はAWSの成長率に対する懸念だと指摘しながらも、クラウドサービスの見通しについては明るい見方を示しています。
我々は、最適化、新しいワークロードの展開、前年比のコンプの緩和が緩やかであることに勇気づけられている。また、2024年には生成 AIがAWSにとってより意味のあるドライバーになると予想している。
小売業の見通しについて同氏は、アマゾンの成長を支えているのは、即日配達、プライム会員の消費拡大、サードパーティの強力な品揃えだと主張しています。
また、中国を拠点とするShein、Temu、TikTokのオンライン小売におけるリーチの拡大による競争の激化を同氏は指摘していますが、リスクのほとんどは市場のローエンドにあり、アマゾンは幅広い顧客にサービスを提供していると述べています。同氏は、25万人の季節労働者を雇うという同社のホリデー採用計画を、ビジネスにおける強さの表れと見ています。
FTCの提訴によりアマゾンが苦戦を強いられるだろうとの見方がありますが、アンマス氏は以下のようにコメントしています。
アマゾンが違法に独占力を維持し、競争を阻害し、価格を吊り上げ、品質を低下させ、イノベーションを阻害していることをFTCが証明するのは困難だろう。実際、我々は、アマゾンがそれぞれのケースにおいて、それとは正反対のことを行い、最終的にeコマースのイノベーション、普及、サービスを他のケースよりもはるかに高いレベルにまで高めたと考えている。
アンマス氏は、アマゾンは依然として最高の投資アイディアであると述べ、投資家たちに最近の下げを利用して株を買うよう推奨しています。
アマゾン株は10月3日に3.66%下落し、終値は124.72ドルとなりました。2人のアナリストが提示した目標株価はここから44%上昇することを見込んでいます。
*過去記事はこちら アマゾン AMZN