AIベースの貸出プラットフォーム、アップスタート・ホールディングス（UPST ）の株主にとって、今年に入ってから株価の動きは、まるでジェットコースターに乗っているような気分にさせられるものです。
過去3カ月で約300%上昇していた株価は、2023年第2四半期の決算報告が投資家の失望を招いた結果、決算発表後数日のうちに株価が約半分にまでなってしまいました。
しかし、株価の最近の動きとは裏腹に、同社が持つ長期的な魅力は最近の業績が暗示するほど損なわれていないかもしれません。
第2四半期の業績と第3四半期の見込み
今日の貸出市場の低迷を示すように、第2四半期の売上は前年同期比40%減の1億3,600万ドルとなりました。運営経費の大幅な削減にもかかわらず、同四半期の2,800万ドルの損失は、前年同期の3,000万ドルの損失からわずかに改善したに過ぎません。
投資家が最も失望したのは、アップスタートの第3四半期のガイダンスで、1億4,000万ドルと設定されました。これは、前年同期の1億5,700万ドルや、アナリストが予想していた1億5,500万ドル〜1億5,700万ドルよりも低い数字です。
その結果、過去数ヶ月の株価の大幅な上昇が急に逆行しました。それでも今年これまでに160%増加していることは驚異的なリターンではありますが、8月初めの445%の年間リターンには及びません。
アップスタートの魅力と将来性
決算後の株価の下落によって、P/S（売上高倍率）は5まで下がりました。これは今年初めのP/S比率1よりもかなり高い数字ですが、過去と比べると低い水準にあります。
このようにアップスタート株を保有することは株価の大きな変動にさらされるリスクがありますが、それでもそれに耐えて持ち続けたいと投資家に訴えかける大きな魅力があります。
それは、アップスタートが提供するモデルが実際にうまく機能しているという事実です。AI技術を活用したローン評価モデルは、1989年の導入以来、大きなリニューアルを経ていないフェア・アイザックのFICOスコアよりも優れています。
アップスタートのモデルはより多くの変数を考慮し、AIを計算に取り入れています。その結果、銀行のデフォルトリスクを増やすことなく、43%多くのローンを承認することができます。
2023年第2四半期末時点で、アップスタートを利用する貸し出しパートナーは前年の71から100に増加しました。同様に、アップスタートでのローン提供を行う自動車ディーラーも、前年の39から61に増加しました。
さらに、第2四半期決算の電話会議で、デイブ・ジルアード最高経営責任者（CEO）は、アップスタートが未担保ローンの承認の88%を完全に自動化したと発表しました。これにより、銀行はローンをより効率的に発行することができます。
最近の発表によれば、アップスタートはコロラド州で住宅担保ローンのパイロットプログラムを開始しました。これにより、アップスタートは2.2兆ドルの住宅融資市場に進出します。すでに進出している、個人、自動車、中小企業のローンの合計市場は約1.8兆ドルです。
対応可能な市場を拡大することで、今日の金利上昇環境でアップスタートが被っている売上減少を緩和することができるため、これは極めて重要な動きです。
アップスタートへの投資は心臓の弱い人には向いていませんが、AIを通じてローン評価市場を変革する力を同社は持っています。返済不能な借り手をより多く排除する能力は、リスクを減少させることがますます重要となる時期に、銀行にとって貴重なサービスを提供します。さらに、さらなるローン市場への進出により、アップスタートの前には大きなチャンスが広がっています。
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