大手テクノロジー企業における主役の交代が始まっています。
アマゾン・ドット・コム(AMZN)とアップル(AAPL)はともに8月3日に決算を報告しましたが、その結果を受けて、ローゼンブラット証券のアナリスト、バートン・クロケット氏は両社に対する評価を見直しました。アマゾンを「中立」から「買い」に格上げした一方でアップルの格下げを行なっています。
クロケット氏はアマゾンについて「以前の懸念点であった、一般の見方が楽観的すぎるという問題が解消された」と述べ、さらに「ビジネスがリセットされ、リテールの効率化とクラウドの新たなドライバーとしてのAIが新たな焦点となる中で、経済的な暗雲が迫っているリスクはあまり心配する必要がなくなり、消費者成長の高倍率ストーリーの扉が開かれた」と語っています。
アマゾンの株価は8月4日の市場で10%以上上昇し、ダウ・ジョーンズ・マーケット・データによれば、2022年11月10日の12.2%の上昇以来の最大の一日における上昇率を記録しています。
クロケット氏は、AWSのクラウドコンピューティング事業が底を打ち、アマゾンが人工知能への関心の波に乗る機会を得たことを強調しています。
同氏は「生成的AIはまだ実用化されていないが、マイクロソフトとグーグルはBardとChatGPTのおかげで初期の段階ブランドリーダーになっている」と述べる一方で、「しかし、アマゾンのスケールと機械学習サービスの販売の歴史、そしてカスタム推論チップとトレーニングチップ、大規模言語モデルへの投資は、アマゾンがクラウドセクターでの新たな成長フェーズを引き起こす可能性のある生成AI(の競争)に参加できることを示している」と述べています。
そうした一方で同氏は北米のリテールビジネスでのマージンパフォーマンスの向上を評価しています。「より速い配送速度とより良い在庫配置は、移動距離を短縮し、手間を減らし、コストを削減することを意味する」と同氏は述べ、アマゾン株の目標株価を111ドルから184ドルに引き上げました。
一方、アップルについてクロケット氏は、同社が今後業績を伸ばすためにはiPhone以上のものが必要であり、「重要な新製品カテゴリー」がいつ貢献し始めるのか、あるいはいつ貢献し始めるのかはわからないと懸念しています。
アップグレードや熱狂的なファンによる定期的な上昇はあるものの、「コアとなるiPhoneで大きなブームが起こることを期待する理由はほとんどない」と同氏は述べています。
「新興市場のアウトパフォームをテーマにしても、中核の米州地域が冴えない場合、アップル株は大きく改善することは難しいと我々は考えている」とする同氏は、アップル株の目標株価を198ドルのまま据え置くとしています。