8月1日のアフターマーケットにおいて、半導体大手のアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)の株価が急上昇しました。同社の決算報告がウォール街の予想を上回り、また、同社CEOの発言がAI市場の可能性を示唆したことが、この動きの背景にあります。
AMDの株価は、1日の通常取引を2.8%高の117.6ドルで終えたあと、同社が好調な決算報告を発表した後の時間外取引では一時5%以上上昇しました。一部のアナリストはAMDがインテル(INTC)との競争を優位に進めていると指摘しています。
AMDのCEOであるリサ・スー氏は、同社の強固な製品ポートフォリオが、PC売上の予想を上回る結果をもたらした主要な要因であると述べています。
第2四半期決算の詳細
第2四半期の売上高は、前年同期の65億5,000万ドルから53億6,000万ドルに減少し、粗利益率は前年同期の54%から50%に低下しました。前四半期、AMDは下半期のAIとデータセンター向け製品の好調を予想しましたが、粗利益率の改善にはPC市場の回復が必要だと認めていました。
売上高の内訳を見ると、データセンター向け売上は11%減の13億ドル(アナリスト予想は13億7,000万ドル)、PC向け売上は54%減の9億9,800万ドル(アナリスト予想は8億4,330万ドル)、ゲーム向け売上は4%減の16億ドル(アナリスト予想は16億ドル)、組み込み型製品の売上は16%増の15億ドル(アナリスト予想は14億9,000万ドル)でした。
第2四半期の純利益は、前年同期の4億4,700万ドル(1株当たり27セント)に対し、2,700万ドル(1株当たり2セント)。株式報酬およびその他の一時的項目を調整した後の利益は、前年同期が1株当たり1.05ドルであったのに対し、58セントを計上しました。
ファクトセットの調べではアナリストらは、売上高53億2000万ドルで、調整後の第2四半期利益は1株当たり57セントと予想していました。AMD自身は売上高を50億~56億ドル、第2四半期の粗利益率を約50%とのガイダンスを示していました。
今後の見込み
AMDのジーン・フー最高財務責任者(CFO)はアナリストとの電話会議で、次の第3四半期では、PC関連の売上が前年比で増加し、データセンターの売上が「横ばい」、ゲームと組み込みの売上が前年比で減少すると予測しています。
アナリスト予想では、第3四半期のデータセンター向け売上高は前年同期比7.3%増の17億3000万ドル、PC向け売上高は同2.6%増の10億5000万ドルと見られていました。
前四半期比では、クライアントとデータセンターの売上が2桁の伸びを示し、ゲームと組み込み型製品の売上が減少すると フーCFOは述べています。
AI市場への取り組み
競争相手であるエヌビディア(NVDA)などとのAI分野での競争にどのように立ち向かうかについて電話会議で尋ねられたリサ・スーCEOは、メタ・プラットフォームズ(META)のスピンオフであるPyTorchやOnyxようなAIを中心とする多くの組織が、より高度なAIモデルを最適化するために同社と緊密に協力していると説明しました。
「我々はリードカスタマーから大量のリアルタイムフィードバックを得ているので、非常に速いペースで学んでいます。当社のポートフォリオは、CPU、GPU、Ryzen AIを搭載したアクセラレータ技術をPC側にも、ザイリンクスのポートフォリオを搭載した組み込み型製品側にも提供しているという意味で、かなりユニークなものだと考えています。かなり広範で有能なポートフォリオだと思います」とスーCEOはアナリストに述べています。
スーCEOはまた、AIの開発競争では「複数の勝者」が生まれるとも述べており、AI市場における同社の今後の見込みに強い自信を示しています。
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