今年の上半期、ウォール街は「リスク・オン」のトレンドが主導していました。しかし、金利上昇、インフレ、地政学的リスク、さらには6月の雇用統計の弱い成長といった要素により、多くの投資家たちは市場の上昇を疑っています。
こうした状況下でも、堅調な成長と安定した配当が期待できる5つの銘柄をマーケットウォッチがピックアップしていましたのでご紹介します。これらの銘柄は全て売上が2桁成長を記録し、配当も潤沢で持続可能であるため、市場情勢が悪化しても一定の安定性を保つことが期待できます。
ジェン・デジタル(GEN)
ジェン・デジタルは、マルウェアやウイルスから個々のデバイスを保護するサイバーセキュリティ・ソリューションを提供する企業です。同社は以前、ノートン・ライフロックとして知られており、この2つのブランドはセキュリティ関連サービスとして消費者に認知されています。
2023会計年度に売上高19%増、予約高22%増、営業利益24%増を達成。さらに、四半期ごとに12.5セントの配当金を支払っており、配当性向は25%程度です。最近の成長が続けば、配当はさらに増加する可能性があります。
ジュニパーネットワークス(JNPR)
ジュニパーネットワークスは、ルーターやデータゲートウェイ、ネットワークアーキテクチャを提供するテクノロジー企業です。その事業においてクラス最高の地位を維持している同社の歴史は1996年、インターネットの黎明期までさかのぼります。誰もがネット接続を必要とするデジタル時代において、ジュニパーは現代経済に不可欠な存在であり続けています。
最近の好調な業績を受けて、シティグループは7月上旬、ジュニパー株を「買い」としてカバレッジを開始しました。アナリストのコンセンサス予想では、2023年度の売上高は前年比約10%増、一株当たり利益は約20%増となる見込みです。利益面では、同社は最近、配当金を前期比1セント増の四半期22セントに引き上げました。現在、配当は総利益の3分の1程度であり、配当を続けることは可能であると思われます。
モンデレズ・インターナショナル(MDLZ)
食品製造業界の大手、モンデレズ・インターナショナルは、オレオ・クッキーやホールズ咳止めなどの定番商品を提供する企業です。インフレ上昇を乗り切る戦略として、消費者にコスト増を転嫁しつつ、新興市場での販売を増やすことで成長を遂げています。定番の商品ラインナップと、インフレに強い会社であることが投資家に注目されています。
同社は4月に好決算を受けて株価が上昇し、今期の売上高と利益の見通しのガイダンスを引き上げました。今年12%の売上成長を見込んでいます。38.5セントの四半期配当は、2018年の19セントから倍以上となっており、配当成長への強いコミットメントを示しています。配当は予想利益の約半分であるため、成長が停滞しても配当は持続可能であると思われます。
オープン・テキスト(OTEX)
オープン・テキストは、情報管理ソフトウェアとファイアウォールを専門とするソフトウェア会社で、急速なサイバーセキュリティ市場の成長を受けて業績を伸ばしています。持続可能な配当支払いとともに、サイバーセキュリティがますます重要視される今日の世界で、同社は長期的な成長を見込むことができる投資先となります。
同社は急成長しており、5月に発表された直近の四半期報告書では、前年比41%の増収を記録しており、2023年度と2024年度には約30%の増収を見込んでいます。10年間以上にわたり配当を続けており、配当金は2017年初頭の1株当たり11.5セントから現在では24.3セントと大幅に増加しています。これらの配当は総利益の3分の1以下であり、オープン・テキストに将来の増配余地を与えています。
シスコ(SYY)
シスコは、世界中のレストランや施設内食堂へ食品を供給する大手企業で、パンデミックによる打撃から復活しつつあります。世界的な飲食業界の大手供給者であることから、市場の波に乗りつつも安定的な成長を見込むことができます。
直近の決算報告では12%の増収を報告しました。売上総利益も前年比で約14%増加しています。昨年は680億ドル以上の売上を記録し、2019年の売上600億ドルを余裕で上回りました。配当に関しては、シスコは40年以上の連続増配の実績があり、直近では7月に1株当たり1セントの増配を行いました。配当は今年の利益の約半分であり、株主への支払いを続ける余力は十分にあります。