2023年の景気後退が懸念されるなか、株式市場は好調を維持しています。その中でも特に注目されるのが、昨年の低迷から立ち直り、上昇の兆しを見せているアマゾン(AMZN )です。
逆風からの回復
昨年は消費活動の低下やインフレの影響など逆風に見舞われたアマゾンですが、今年に入り新たな一歩を踏み出しています。第1四半期の売上高は前年同期比9%増の1,274億ドルを記録し、昨年の第1四半期の純損失から32億ドルの純利益に転換しました。そしてその結果、アマゾンの株価は今年に入ってすでに50%も上昇しています。
常に先を見据える企業文化
アマゾンの強みは、その業界におけるリーダーシップや規模、キャッシュ生成力もさることながら、それ以上に「先を見据え、新たな成長機会を探し、それを利用する企業文化」にあります。アマゾンは、初期のEコマースやクラウドコンピューティングの分野でこの企業文化の力を発揮して大きく成長し、現在では人工知能(AI)の分野でも同様の戦略を展開しています。
AI領域での戦略
アマゾンは、自社のクラウドサービス「Amazon Web Services(AWS)」を通じて「Amazon Bedrock」呼ばれるサービスを提供することを発表しました。
「アマゾン、独自の生成AIでマイクロソフトとアルファベットに対抗!AWSが企業向けカスタマイズ可能なAIサービスを展開」
Bedrockによって、開発者は生成的なAIモデル、つまり一連のクエリを取り込んでテキスト、画像、動画などを生成するアプリケーションを構築するためのツールを手に入れることができます。これによってChatGPTのような生成AIアプリケーションの開発が加速することが予想されます。
グランド・ビュー・リサーチによると、生成AI市場は2030年までに1097億ドルに達し、それまでの年間平均成長率は35.6%と予測されています。アマゾンはここで大きな勝者となる可能性があります。
他業界への挑戦
さらにアマゾンは、ヘルスケア、Eコマース、クラウドコンピューティング、音楽・映像配信など、さまざまな分野でも躍進を続けています。それぞれの分野での競争優位性が、アマゾンの成長と強さの源泉となっています。
アマゾンの強さと投資機会
アマゾンは、世界で最も価値のあるブランドの一つであり、高いスイッチング・コストをもつAWSなど、多角的な競争力を持っています。これらの要素が組み合わさることで、アマゾンは今後何年にもわたって市場を席巻するパフォーマンスを発揮し続けると予想されます。
アマゾンの株式は、長期的な投資戦略を持つ投資家にとって、2023年の株式市場で注目すべき銘柄の一つです。その業績回復、長期的な展望、AI分野での新たな挑戦など、投資家にとって注目すべきポイントがたくさんあります。
*過去記事はこちら アマゾン AMZN