急速に成長する人工知能(AI)市場への対応においてエヌビディア(NVDA)が近い将来ウォール街の予想を上回ることができる唯一の半導体メーカーになると、アナリストが予測しています。
エヌビディアをトップピックに指名
モルガン・スタンレーの半導体アナリストであるジョセフ・ムーア氏は6月16日、同氏が選ぶトップピック銘柄をアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)からエヌビディアに変更しました。その理由として、ムーア氏は「エヌビディアの方が短期的に収益を上げるのに有利」との見解を示しました。
ムーア氏はAMDについてのオーバーウェイト評価を維持する一方で、「今年、勝って上がる(beat and raise)立場にあるのは1社だけだ」と強調。その会社がエヌビディアであると断言しました。
AI市場の未来、エヌビディアは一歩先を行く
エヌビディアとAMDは両社とも、AIハードウェア製品を多数発表しており、AI市場での競争が激化しています。しかし、ムーア氏は「エヌビディアとは異なり、AMDが短期的に上昇を記録する可能性は低い」との見解を示しました。
AI市場についてムーア氏は、「これらの市場を取り巻くコメントは、29年間半導体銘柄を取材してきた中で聞いたどのコメントよりもポジティブだ」と語り、極めて高い成長率を見込んでいます。
「来年のデータセンターの売上が400億ドルというレベルでも、[2028会計年度/2027暦年]までにデータセンター事業が560億ドル超に成長する可能性があると見ている」と同氏は述べ、エヌビディアの売上の伸びは、AI市場の顧客増によるものだと分析。特に、大規模言語モデル、モデルの複雑化、言語翻訳、リアルタイムの再トレーニングなどが売上が増える主要な要素となると予想しています。
目標株価を引き上げ
エヌビディアの目標株価を、ムーア氏は450ドルから500ドルに引き上げました。また、AMDについても目標株価を97ドルから138ドルに引き上げたほか、マーベル・テクノロジー(MRVL)も55ドルから68ドルに目標株価を引き上げています。
今年に入ってからのエヌビディアの株価は約3倍の上昇を記録。また、AMDは87%、マーベルは70%の上昇を見せ、半導体メーカーとしてのポジションを強固にしています。
時価総額1兆ドル
さらに、6月中旬、エヌビディアは米国の上場企業としては7社目、米国の半導体メーカーとしては初めて、時価総額1兆ドルを突破しました。
エヌビディアの将来的な成長への期待は高まりを見せています。しかも、その舞台はAI市場だけにとどまりません。今後もこの半導体メーカーの一挙一動が、注目の的となること間違いありません。
*過去記事はこちら エヌビディアNVDA