アドビ(ADBE)が最新の四半期決算で予想を上回り、通期の見通しも引き上げました。5月中旬からからすでに株価を42%上昇させていたラリーをさらに拡大させました。この動きは、コンテンツ制作・マーケティングソフトウェアの巨人アドビが新たな競争上の脅威に立ち向かい、生成AIが同社の成長を後押しするという投資家の信頼を強めた結果だと言えます。
アドビの第2四半期決算、予想を上回る
6月2日に終了した第2四半期の売上高は48億2000万ドルで、前年同期比で10%増加し、同社のガイダンス範囲である47億5000万ドル〜47億8000万ドルとウォール街のコンセンサス予想である47億7000万ドルをともに上回りました。
調整後利益は1株当たり3.91ドルで、ガイダンスの範囲である1株当たり3.75ドル〜3.80ドル、及びアナリストのコンセンサス予想である1株当たり3.79ドルをも 上回りました。一般に公正妥当と認められた会計原則に基づくと、1株当たり2.82ドルの利益となり、目標レンジである1株当たり2.65ドル〜2.70ドルを上回っています。
また、サブスクリプション型ソフトウェア事業の健全性を示す指標として注目されている、デジタルメディア事業の正味新規売上高は4億7,000万ドルであり、コンセンサス予想の4億2,200万ドルを大幅に上回ったことも発表しています。
デジタルメディア部門の売上高が35億1,000万ドルで、10%増加、為替調整後では14%増加し、コンセンサス予想の34億6,000万ドルを上回りました。デジタルエクスペリエンス部門の売上は12億2,000万ドルで、12%増、為替調整後では14%増となり、予想とほぼ一致しています。
今後の見通し
第3四半期について、アドビは売上高を48億3,000万ドル〜48億7,000万ドルと見ています。コンセンサス予想の48億6,000万ドルをやや下回り、レンジの中間に位置しています。調整後利益は1株当たり3.95ドルから4ドルとなり、コンセンサス予想の3.88ドルを上回ると見ています。デジタルメディアの新規ARRは4億1,000万ドルで、コンセンサス予想を200万ドル上回ると予想しています。
通期の売上高は192億5,000万ドル〜193億5,000万ドルになると見ています。中間値で、コンセンサス予想とほぼ一致します。しかし、アドビは通期の非GAAPベースの利益予想を1株当たり15.65ドル〜15.75ドルとして、前回予想の1株当たり15.30ドル〜15.60ドルから引き上げ、コンセンサス予想の1株当たり15.50ドルを上回りました。
アドビのシャンタヌ・ナライエンCEOは決算発表で、同社の「画期的なイノベーション」が 「生成AIの新時代をリードする」ポジションにあると述べています。
アドビの株価は6月15日の通常取引を2.37%高の490.91ドルで終えた後、決算発表後の時間外取引で2%あまり上昇し502ドルで取引されています。
*過去記事「AIとクリエイティブの融合:アドビの新戦略が示す未来」