レンディング・テクノロジー企業のアップスタート・ホールディングス(UPST)の株価が急騰しています。5月初めに12ドルあまりだった株価は32ドルまで上昇、1ヶ月あまりで2.7倍になりました。株価がここまで高騰した理由は、空売り筋による買い戻し、ショートスクイーズによるものだと考えられます。
ショートスクイーズとは?
空売りとは、投資家がまだ所有していない株式を売却する取引方法です。具体的には、投資家は証券会社やブローカーから借りた株式を市場で売却し、後で同じ株式を安く買い戻して返却することで利益を得ることを狙います。
ショートスクイーズは、空売りを行った投資家が株価の上昇を受けて損失を避けるために一斉に株を買い戻すことで発生します。アップスタートの株価はまさにこのショートスクイーズによって一気に値を上げたものと推定されます。
空売りの背景
アップスタートがこれほどまでに空売りされた理由は主に、金利の急上昇とともに同社がローンの売却に苦戦し、成長と利益が大きく落ち込んだことにあります。さらに、経営陣が貸借対照表にローンを積み上げ、会社の財務的安定性が危ぶまれる状況が生まれました。
ショートスクイーズのきっかけ
アップスタートのショートスクイーズの引き金となったのは、同社の第1四半期決算でした。結果はあまり良くありませんでしたが、経営陣は20億ドルのコミットメント資金を確保したと発表し、さらに数日後には40億ドルの資金調達が発表されました。
これにより、アップスタートはローンの買い手を見つけ、資金調達の制約を緩和することができました。まだ課題は残されていますが、アップスタートの財務見通しは大幅に改善されました。
株価の今後の動向
株価がこれほど短期間で上昇した後にそれが続くことは稀ですが、アップスタートの場合はその可能性があります。というのは、公開株の約35%がまだ空売りされているからです。株価が上昇すると、空売り筋はさらなる損失を避けるためにポジションをカバーするプレッシャーが高まります。
また、アップスタートの基本的な指標は今後改善すると考えられます。確定的な資金調達が確保され、今後の取引でさらに成長し続ける可能性があることから、同社は過去12ヶ月間に失った成長を取り戻し始めることができます。アップスタートは以前は利益を出していたため、利益を出すことが可能かどうかではなく、ローンのボリュームを元の水準に戻すことが課題となります。
まとめ
アップスタートの株価急騰はショートスクイーズと資金調達の成功が引き金となりました。空売り筋のカバー圧力と資金調達による業績の向上の可能性があるため、この急騰は続く可能性があります。
*過去記事はこちら アップスタート UPST