2023年の半導体市場は、人工知能（AI）の力を借りて大きく成長を見せていますが、その反動もまた危惧されています。そうした引け目を上手く乗り切るための一つの選択肢として、マイクロン・テクノロジー（MU）が注目されています。
マイクロン・テクノロジーは、デスクトップコンピューターやサーバーに使用されるダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ（DRAM）、スマートフォンやソリッド・ステート・ハードドライブ（SSD）に搭載されるフラッシュメモリの製造で業界をリードする企業として知られています。
シティ・リサーチのアナリスト、Christopher Danely氏は、マイクロンの株式に対して「買い」の格付けを再度発表し、目標株価を75ドルと見積もっています。その理由を「半導体業界は引き戻しの時期が来ている」と述べており、「AIの誇大広告によって引き起こされたメルトアップを考えると、グループに対する慎重なスタンスを再表明する。また、ランキングを変更し、マイクロンをトップピックに移動する」とコメントしています。
AI半導体への投資は、厳しい世界経済環境の中で、PCプロセッサなど他の種類の半導体への投資を圧迫する可能性があるとDanely氏は指摘しています。さらに、マイクロンは米中間の地政学的緊張の中で揺れ動いています。
先月、中国のサイバースペース管理局（CAC）は、国家安全保障を脅かす可能性のあるネットワーク・セキュリティの問題を指摘し、マイクロンの一部製品の販売を禁止する命令を出しました。この動きを受け、米国政府はマイクロンに対するCHIPS法による資金提供を増やす可能性があるとの見方が強まっています。
このCHIPS法は、ジョー・バイデン大統領が2022年に署名したもので、米国の半導体製造を後押しするために約500億ドルの資金を提供するものです。中国のマイクロン禁止令によって、「同社はCHIPS法からより多くの資金を得られる立場になるはずだ」とアナリストは述べています。
AI主導の半導体市場の展望についてはまだ多くの不確実性があるものの、マイクロンの株式保有は投資家にとって有望な選択肢となり得ると考えられます。その理由としては、同社の半導体製品の強み、厳しい経済環境に対する抵抗力、そして中国の動向を受けたCHIPS法からの資金増加の可能性などが挙げられます。これらの要素を踏まえて、投資家は自身の投資戦略を練ることが求められます。