アップルの「Vision Pro」:市場を変える可能性を秘めた新製品

アップル(AAPL)がまたしてもテクノロジー業界に衝撃を与えました。今回の製品は、複合現実型ヘッドセットです。6月5日、アップルは新しいVision Proデバイスを公に披露し、この3Dコンテンツ対応のデバイスは、その先進性に相応しく、3,499ドルという価格を特徴としています。この記事では、アップルのVision Proとその主要機能について、そしてそれがVR/AR市場にどのような影響を与えるかについて詳しく掘り下げていきます。
*アップルのプレスリリース「Apple Vision Proが登場 — Appleが開発した初の空間コンピュータ

最新製品であるVision Proは、アップルが8年ぶりにリリースする主要な新製品カテゴリーで、手、目、声による操作を可能にすることで、現在のヘッドセット市場に革新をもたらすことを期待されています。ティム・クックCEOがアップルの開発者向けイベントWWDCの基調講演で詳細を発表しました。

拡張現実と現実の環境を融合させたこのような複合現実型ヘッドセットをアップルが開発していることについては、何年も前から噂が広まっていました。

Vision Proは、「空間コンピューティング」の象徴とされ、強力なパーソナルテクノロジーに新たな次元をもたらします。これにより、ユーザーは「もはやディスプレイによって制限されることはない」とクックCEOは述べています。

このヘッドセットの重要な特徴の1つは、現実世界の周囲にアプリを重ね合わせて見ることができるということです。ユーザーは、デジタルクラウンで設定を調整することで、どの程度没入したいかを自由に決定できます。

Vision Proは、目、手、声だけでコンテンツを操作する能力を持つデバイスとして誕生しました。フリック操作でオプションをスクロールしたり、指を合わせてタップして何かを選択したりすることが可能で、これらの操作をアップルは「微妙なジェスチャー」と表現しています。

また、ユーザーはFaceTimeやSafariなどのアプリケーションを並べ、横を向いて別のアプリケーションに切り替えることができます。これら全ての操作中でも、現実世界で自分と関わっている人たちとの視覚的な接触を維持することができます。

このヘッドセットは、パノラマ写真を強調し、ユーザーが「空間的」な3Dビデオや写真を撮影できることを可能にしています。特に飛行機に乗っているときには、3Dビデオを見ることで周囲が見えなくなる、といった新たな体験も予告しています。

コンテンツ面では、ウォルト・ディズニー(DIS)との提携も発表しました。この日の基調講演に登場したディズニーのCEO、ロバート・アイガー氏は、Vision Proの登場を「記念すべきイベント」と称賛し、深い没入体験が可能なパーソナルなストーリーが、ディズニーのビジョンを現実化する手助けをすると述べました。ユーザーはVision Proの発売当初から、ディズニーの動画配信サービス「ディズニー+(プラス)」のコンテンツを利用可能になる予定です。

Vision Proは、新しいR1チップを搭載したアップルのカスタムプロセッサに依存しています。これにより、他のデバイスが抱えてきたレイテンシー(描画遅延)の問題が解決される可能性があります。さらに、このデバイスは、新しいvisionOSオペレーティングシステムの一部として、ユーザーが自分自身のデジタルペルソナを設定することが可能になります。

以上のような革新的な機能を備えたアップルのVision Proにより、拡張現実および仮想現実デバイス市場に新たな風が吹き始めています。メタ・プラットフォームズ(META) などの製品が消費者から十分な支持を得られなかった現状に対し、Vision Proがどのようにパフォーマンスを発揮するかに注目が集まっています。

アナリストのAmit Daryanani氏は、アップルが過去に、それまであまり成功を収めていなかった製品を、結果的には主流の製品へと育て上げた実績を持つことを指摘しています。それが今回のVision Proにも当てはまるかどうかは未だ不明ですが、同氏の予測によれば、アップルは最初の5年間で1000万台以上を販売する可能性があるとのことです。

*過去記事「アップルが開くAR/VRの未来:5000億ドル市場の可能性

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