大きな変革が起きているフィンテックの世界。その中でテクノロジー大手、アップル(AAPL)が注目を浴びています。フィンテック領域へのアップルの積極的な進出は、業界に大きな影響を与える可能性があります。
アップルのフィンテックサービスの進化
近年、アップルは一貫してフィンテック関連サービスを拡大し続けてきました。非接触型モバイル決済サービス「Apple Pay」の始まりから、BNPL(Buy Now Pay Later)サービス「Apple Pay Later」の導入まで、アップルの金融サービスの広がりは止まるところを知りません。
フィンテック市場での競争
しかし、アップルがフィンテック市場で成功を収めるためには、他の金融機関やフィンテック・スタートアップとどのように比較されるかを理解することが重要です。アマゾン(AMZN)、アルファベット(GOOGL)、メタ・プラットフォームズ(META)などの他の大手テクノロジー企業もフィンテック領域に既に進出しています。このような競争環境の中で、アップルはどのように立ち位置を確立していくのでしょうか?
消費者への影響
アップルがこれらの課題を乗り越え、フィンテック市場を新たな成長の舞台にすることができれば、その影響は消費者にも及びます。新たな金融サービスは、より便利な決済方法や資金管理ツール、ローンや投資サービスなど、消費者の金融生活を改善する可能性があります。
フィンテック戦略:革新性とビジネスモデル
アップルがフィンテック領域をどのように戦略的に利用し、その製品やサービスがどの程度の革新性を示すかは、アップル自身のビジネス戦略に大きく依存します。その取り組みが成功すれば、アップルはフィンテック領域での競争をリードし、その結果、消費者の金融生活に革新をもたらす可能性があります。
一つの成功事例が、「Apple Pay Later」の導入です。これは、消費者がクレジットカードで買い物をするのではなく、金利0%で2ヶ月間、4回に分けて支払うのが一般的な、いわゆるBNPL(Buy Now, Pay Later)のサービスです。アファーム、アフターペイ(ブロックが所有)、ペイパル、クラーナなどの既存のBNPLサービスと競合する形で、市場に新たな選択肢を提供しました。
貯蓄口座の導入とApple Walletの進化
今年、アップルは貯蓄口座も導入しました。Apple Walletに現金をためる高利回りの理由を提供するもので、自社ブランドのカードを含む支払いやクレジットカードのホームベースとなることを期待しています。Appleのカードで得た報酬は自動的に貯蓄口座に入り、最大250,000ドルまで貯めることができます。利回りは全米の銀行平均の10倍にあたる4.15%となっています。
他社への影響
これらの動きは、他のフィンテック企業にとって大きな脅威となります。特に、ペイパル(PYPL)やブロック(SQ)、アファーム(AFRM)などの株価は、アップルの動きに対する影響を受けて、2021年の高値から75%以上下落しています。このような影響は、投資家がアップルのフィンテックへの進出を評価し、決済関連銘柄を敬遠する傾向があることを示しています。
今後の課題
それでも、アップルのフィンテック進出はまだ途上で、まだ多くの課題が残っています。しかし、アップルは、560億ドルの現金と現金同等物を含む膨大な資金力を活用し、iOSベースのデバイスを通じてハードウェアとソフトウェアの両方をコントロールできるという大きなアドバンテージを持っています。
その可能性
フィンテック領域への進出は、アップルの新たな成長の道筋となり得ます。その成長のポテンシャルは大きく、その影響力は業界全体に及びます。これからアップルがどのようにこの新たな市場に挑戦していくのか、その動向に注目が集まっています。
結論
アップルのフィンテック進出は、業界だけでなく消費者の金融生活にも大きな影響を及ぼす可能性があります。その成功が、新しい金融体験の創出や競争環境の変化をもたらし、我々の日常生活にどのような影響を与えるのか、引き続き注視していくことが重要となるでしょう。アップルがフィンテック領域でどのような革新を起こすのか、その進展は今後の市場動向に大きな影響を与えることになると思われます。
*過去記事はこちら アップル AAPL