対話AI検索の登場でGoogleが直面する二つの脅威

オープンAIが開発したChatGPTを搭載した対話AI検索を発表したマイクロソフト(MSFT)への対応を迫られているアルファベット(GOOGL)ですが、対抗する対話AIサービスを発表した際のデモ回答に誤りがあったことが発覚し、2月9日の市場では一時9%近く下落する場面もありました。

そんなアルファベットが現在直面している脅威は大きく言って2つあると言われています。ひとつは検索シェアを失うことで、もうひとつはビジネスコストが上昇することです。

市場調査会社スタットカウンターのデータによると、1月のGoogleの市場シェアは93%、一方、マイクロソフトのBingは3%のシェアでした。

Bingは2009年に登場し、マイクロソフトはその普及に努めてきましたが、Googleの圧倒的な支配を覆すことはこれまで全くできませんでした。それが今回、オープンAIが開発したChatGPTを搭載した新しい「Bing」を発表したことで、投資家はBingが登場して以来初めてGoogleの競合相手になり得るとの認識を持ちはじめています。

マイクロソフトの最高財務責任者エイミー・フード氏は、5000億ドルのデジタル広告市場のうち、検索広告が占める割合は40%、額にして約2000億ドルだと推定しています。アルファベットが昨年検索広告で計上した売上は1630億ドルであり、約82%のシェアを検索広告の市場で占めていることになります。

マイクロソフトのWindows、デバイス、検索事業担当CFO、フィリップ・オッケンデン氏がアナリストに対し、「検索広告市場でシェアが1ポイント上がるごとに、当社の広告事業にとって20億ドルの売上機会になる」と指摘したのもこの市場推定に基づくもので、アルファベットが検索シェアを失うことで被る損失額の大きさがわかります。

アルファベットはまた、検索クエリのAIベースの大規模言語モデルへの移行に伴うコスト上昇の可能性にも直面しています。

モルガン・スタンレーのアナリスト、ブライアン・ノバク氏は2月9日付けのリサーチノートで、クエリが10%、AI搭載検索にシフトするごとに、Googleの営業コストが12億ドル上昇し、クエリの50%がシフトすると、コストが60億ドル増加して税引き前利益が6%削られる」と主張しています。AIを使ったクエリは、現在のアプローチの約5倍のコストをアルファベットにかけることになると同氏は見ています。

新しいBingとの競争激化は、アルファベットの投資家にとって、市場シェアを失って売上が減る一方で、コストが上昇するという二重苦をもたらす可能性があります。

アルファベット(GOOGL)の株価は2月8日から9日までの2日間で12%あまりも下落しており、時価総額が1620億ドルあまりも減少しています。

*過去記事はこちら アルファベット GOOGL

最新情報をチェックしよう!
>

幸せな生活作りのための米国株投資。
老後資産形成のための試行錯誤の日々を報告していきます。
皆様の参考になれば幸いです。

CTR IMG