アマゾン(AMZN)は2月2日のマーケット終了後に第4四半期決算を発表しました。
第4四半期の売上高は1,492億ドル。1株当たり利益は3セントでした。アナリストのコンセンサス予想は、売上高1,457億1,000万ドル、1株当たり利益17セントでした。売上高で上回った一方で1株当たり利益は予想に届きませんでした。
アンディ・ジャシー最高経営責任者(CEO)は声明で、「短期的には不透明な経済に直面しているが、アマゾンの長期的な機会についてはかなり楽観的であることに変わりはない」と述べています。
2022年通期では、売上高が5139億8000万ドルと、前年の4698億2000ドルから増加し、初めて年間売上高が5000億ドルを突破しました。一方、通年での純損失が27億ドルとなり2014年以来の赤字を記録しました。1997年の上場以来、同社が単年度で14億ドルを超える損失を出したことはこれまでありませんでした。
アマゾンの第4四半期の利益は、資本・業務提携する米新興電気自動車リヴィアン・オートモーティブ(RIVN)の評価損を再び計上した影響で落ち込みました。同社株の下落により、アマゾンの第4四半期の純利益は23億ドル減少しています。
さらに、アマゾンは最近発表したレイオフやその他のコスト削減の費用の多くを第4四半期の業績にも計上しました。27億ドルの減損費用には、レイオフに関する退職金6億4000万ドルと実店舗の閉鎖と減損に関する7億2000万ドルが含まれていると、最高財務責任者のブライアン・オルサフスキー氏は記者との電話会議で述べています。
大規模なレイオフやその他のコスト削減の中で、アマゾンが2023年に黒字化できるかどうかが今後の焦点となりますが、その大半はアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)にかかっています。クラウドコンピューティングサービスは、ここ数年アマゾンの利益の大部分を供給してきました。
しかし、クラウドコンピューティングの成長は鈍化しており、マイクロソフト(MSFT)が先週の決算で明らかにしたように、AWSの成長も減速しています。オルサフスキー氏は3ヶ月前に言及したAWSの減速は第4四半期まで続いており、「今後数四半期は成長率が鈍化する」と予想していると述べています。
第4四半期、AWSは213億8000万ドルの売上に対して52億1000万ドルの営業利益を計上しました。これは、アナリストのコンセンス予想、売上高218億5000万ドルに対して57億3000万ドルの営業利益を共に下回りました。
AWSの減速は、アマゾンのトップラインだけでなくボトムラインにも打撃を与えそうです。経営陣が示した第1四半期のガイダンスは、売上高が1210億ドル〜1260億ドルで営業利益は最大で40億ドルとなっています。 アナリストのコンセンサス予想では、売上高1259億ドルで営業利益40億4000万ドルと見られていました。
アマゾンのEコマース事業は、過去数十年で最悪のインフレの中で成長に苦戦しており、オルサフスキー氏は記者との電話会議で、「顧客が裁量的なアイテムへの消費を減らす(一方で)日常の必需品への支出は継続している」と述べています。アマゾンは最近、プライム会員の食料品配達を有料化すると発表しており、生鮮食料品の販売による収入が増えることが期待できます。
アマゾンの国内EC事業は、売上高933億6000万ドルに対し、2億4000万ドルの営業損失を計上しました。前年同期は売上高823億6000万ドルに対し2億600万ドルの営業損失でした。オルサフスキー氏は、同社の実店舗とデバイス事業の削減により、北米の営業利益率が改善されると述べています。
アマゾンの国際事業はより苦戦し、英国や欧州の他の地域で減速が見られたとオルサフスキー氏は述べ、売上高が減少し、損失が拡大したことを明らかにしました。アマゾンは海外で344億6000万ドルの売上で22億3000万ドルの営業損失を計上しましたが、一昨年は372億7000万ドルの売上で16億3000万ドルの損失でした。
アマゾンの報告書の中で明るい話題は、近年急成長している広告事業が大幅に伸びたことでした。第4四半期広告の売上は115億6000万ドルで、1年前の97億1000万ドルから19%近く伸び、アナリストのコンセンサス予想を上回りました。
アマゾンの株価は2月2日の終値が7.38%高の112.91ドルと大きく上昇しましたが、決算発表後の時間外取引では3.6%安の109ドル前後で取引されています。
*過去記事はこちら アマゾン AMZN