オランダの半導体製造装置メーカー、ASMLホールディング(ASML)は1月25日、第4四半期決算を発表しました。
同四半期の売上高は64億ユーロ(前年同期は49億9000万ユーロ)で、売上総利益率は51.5%。純利益は18億ユーロ(19億6000万ドル)で、アナリストのコンセンサス予想である17億1000万ユーロを上回りました。
第1四半期については、売上高を61億ユーロ〜65億ユーロで見込んでおり、2023年全体では、売上高が25%以上増加し、粗利益率が2022年比で若干改善すると予想しています。
UBSのアナリストはリサーチノートで、売上高の増加率のガイダンスはアナリストのコンセンサス予想(約21%)を上回っており、この結果は 「安心できる」と書いています。
オランダに本拠を置く同社は、シリコンウエハーに回路パターンをエッチングするために使用されるフォトリソグラフィーシステムの世界最大のメーカーであり、世界で最も重要な半導体装置メーカーの1つです。顧客には、台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング(TSM)、サムソン電子、インテル (INTC)などが名前を連ねています。
一部の半導体メーカーは現在、業界の低迷で支出を減らしており、半導体メーカーのテキサス・インスツルメンツ(TXN )は1月24日に、需要の軟化と注文のキャンセルの増加に直面していると発表しました。
しかし、ASMLはそうした影響を受けていないようです。ピーター・ウェニンクCEOは、「インフレ、金利上昇、景気後退のリスク、輸出規制に関する地政学的な動きなどにより、市場の不透明感は続いているが、当社の顧客は、今年後半に市場が回復することを期待しているようだ。当社の受注リードタイムとリソグラフィ投資の戦略的性格を考慮すると、当社のシステムに対する需要は引き続き堅調である」と声明の中で述べています。
同氏はまた、米国が中国企業に対するハイエンドチップ製造装置の輸出を制限しようとする動きも、中国からの売上が約15%を占めるASMLのビジネス上の期待を変えるものではない、と述べています。
同社はオランダの規制により、2019年から極端紫外線リソグラフィの中国への輸出が禁止されているほか、米国はオランダに対して、旧型の深紫外線リソグラフィの輸出も制限するよう働きかけていると言われています。
*過去記事「ASML 売上高見通しが予想を上回り急騰」