2022年後半にリリースされたオープンAIのチャットボット、ChatGPTは、質問に対して自然な文章で回答することで話題を集め、人工知能業界に旋風を巻き起こしました。
2019年にオープンAIに10億ドルを投資し、自社サービスとの連携を進めてきたマイクロソフト(MSFT)は、1月16日、同社のクラウドホスティングツールAzure OpenAI Serviceを通じてより多くの顧客がこのボットにアクセスできるようにすると発表しました。
複数のメディアの報道によると、マイクロソフトはこのツールを同社の検索エンジン「Bing」に統合することを計画しており、アルファベット(GOOGL)のGoogleに対する潜在的な脅威になると見られています。
トゥルイストのアナリスト、Youssef Squali氏は1月18日付けの顧客向けメモで、「現在のChatGPTは、本質的に商業的であるクエリを解決することを目的としていないため、短期的にはGoogleの検索事業に対して大きな脅威を与える可能性はない」としつつも、「マイクロソフトのBingとChatGPTの機能の潜在的な組み合わせは、マイクロソフトがいくつかの市場シェアを取り戻すのに役立つ」と述べています。
また、ChatGPTは宿題支援企業のチェグ(CHGG)にとっても脅威となる、とウォール街のアナリストは述べています。
BMOキャピタル・マーケッツのジェフリー・シルバー氏は18日、「ChatGPTがチェグにどのような影響を与えるかを判断するには時期尚早かもしれないが、同社の米国のウェブトラフィックは第4四半期を通じて弱含みであった」と書いています。
チェグの最高財務責任者のアンドリュー・ブラウン氏は、ChatGPTの技術は「非常に優れている」ものの、「我々の仕事の核心」である、より複雑な数学の問題にはそれほど強くないと1月にニーダム主催で行われた会議で述べています。
一方でChatGPTの登場がプラスに働きそうな企業もあります。エヌビディア(NVDA)のグラフィックス・プロセッシング・ユニットがChatGPTの訓練と実行に使われているため、同社が恩恵を受ける可能性があると、シティのアナリストが述べています。
シティのアナリスト、アティフ・マリク氏は1月17日付けのリサーチノートで、ChatGPTはサービス開始後12カ月間に30億ドルから110億ドルの売上機会をエヌビディアにもたらす可能性があると書いています。同氏はエヌビディアの目標株価を210ドルとし、「買い」の格付けを維持しています。
*過去記事はこちら エヌビディアNVDA