米国防総省は12月7日、軍事情報基盤の刷新のためのJoint Warfighting Cloud Capabilityと呼ばれるクラウドコンピューティング・プロジェクトを実行するために、最大90億ドル相当の複数の契約を結んだことを発表しました。
この契約は、米国の4大クラウドコンピューティング企業であるアマゾン(AMZN)、マイクロソフト(MSFT)、アルファベット(GOOGL)、オラクル(ORCL)と結ばれたことが明らかにされています。
国防総省はトランプ前政権の時代に「JEDI」と呼ぶクラウド調達プロジェクトを立ち上げ、19年に発注先としてマイクロソフトを選んでいましたが、アマゾン子会社による提訴や政権交代などを経て調達方針を見直していました。
シティのアナリスト、ロナルド・ジョージー氏は、今回の契約はアマゾンのクラウド事業「AWS」の成長を促進すると12月8日付けのメモで述べています。
第3四半期のAWSの売上成長率は27%に減速しました。これは2014年以来最も低い増加率で、ウォール街が予想していた32%を大きく下回るものでした。アマゾンの株価は今年、ナスダック総合株価指数が30%下落に対して、47%下落しており、第3四半期決算を発表して以来、およそ20%下落しています。
「AWSの成長が減速していることは認識しているが、製品の革新とその1040億ドルのコミットメント、そして現在の株価の水準を考えると我々は再び買いの格付けを提示する」とジョージー氏は述べています。
クラウドコンピューティング業界最大のイベントであるAWS re: Inventでアマゾンは、AWS Supply Chain、Amazon Security Lake、AWS SimSpace Weaverなど多くの新しいセキュリティとマネージドサービス製品を発表しました。
ジョージー氏の見解では、これらの製品は、クラウド業界における、アマゾンのリードをさらに強めるものです。パイパー・サンドラーのアナリスト、Thomas Champion氏が発表した11月のメモによると、AWSはクラウド市場の50%以上を占め、セールスフォース(CRM)の3倍の規模を持っているとのことです。
新製品以外にも、アマゾンは10月、将来の契約の売上が1043億ドルあると述べています
今回の国防総省との契約は、AWSのシェアの更なる強化につながるもので、「JWCCとの契約は、ほとんどの主要産業におけるAWSの継続的な採用とともに、パブリックセクターの継続的な仕事の触媒となる可能性があると見ている」とジョージー氏は述べています。
同氏は目標株価を90ドルあまりの現在の取引水準から61%の上昇の余地がある、145ドルとしています。
*過去記事はこちら アマゾン AMZN