クラウドストライク・ホールディングス(CRWD)の株価は4月初めにつけた235ドルあまりの価格から40%近く下落した143ドル近辺の価格(11月11日終値)で取引されています。そんな厳しい1年となっていますが、それをくぐり抜けようとしている今、今後が大いに期待できる銘柄となっています。
クラウドストライクは、2011年に設立されたサイバーセキュリティ企業です。創業以来、急成長を続け、わずか10年で売上高は15億ドルに達しました。この成長は、クラウドストライクがサイバーセキュリティ市場にもたらした2つの重要な革新的技術によるものです。
一つ目は、大量のコンピューティングパワーを消費するアンチウイルスソフトを、より少ないリソースで動作する「エージェント」に置き換えたこと。二つ目としては、エージェントが既知の悪質なコードを探すのではなく、不審なデバイスの動作を監視するようにすることで、未知の脅威に対してより迅速に対応することができるようにしたことです。
以前はコンピュータのウイルス対策ソフトの更新に30分近くもかかっていました。クラウドストライクのようなクラウドベースのサイバーセキュリティアプリケーションのおかげで、そのような時代は終わり、その処理はクラウド上で行われるようになっています。
コンピュータにインストールされた「エージェント」ソフトウェアは、疑わしいコードではなく、疑わしい挙動を探します。従来のアンチウイルスソフトは、事前にフラグが立てられたコードのみを識別し、長い更新と比較のプロセスを経て停止させていましたが、そのアプローチでは未知の悪質なコードを阻止することはできません。
クラウドストライクは、この問題を解決するために、悪意のあるコードが動作していることを示す可能性のあるデバイスの動作を、誰もまだフラグを立てていないコードも含めて、エージェントが探すようにしました。
このようなクラウドベースのサイバーセキュリティのパイオニアであるクラウドストライクは、急速に業界標準になりつつあります。
クラウドストライクは猛烈な勢いで成長しています。直近の四半期では、売上高は58%増の5億3500万ドル、フリーキャッシュフローは84%増の1億3600万ドルに達しました。。経営陣は、2023年における同社のアドレス可能な市場規模をを750億ドルとしていますが、クラウドストライクの製品パイプラインは、この数字を2026年までに1580億ドルにまで押し上げる可能性があります。
同社は最近、クラウドワークロード、エンドポイントデバイス、メールシステム、ネットワークなどからのセキュリティシグナルをブレンドする製品、拡張検知・応答(XDR)モジュールを発表しました。
クラウドストライクは、クラウドフレア(NET)、Zスケーラー(ZS)などのサードパーティベンダーのデータも統合して、AIエンジンを強化することを目指しており、XDRは、セキュリティチームが単一のコンソールから脅威を調査できるようにすることで、ワークフローを加速させることができます。
企業のエンドポイントセキュリティとXDRは、クラウドストライクの市場機会のうち約130億ドルを占めており、エンドポイントセキュリティにおける同社のリーダーシップは、XDR製品の採用を促進するはずです。
サイバーセキュリティは、厳しい経済状況下にあっても、企業が支出を続けなければならない分野だと思われますが、予算削減が仮に行われるとしてもクラウドストライクにはそれを耐え抜く力を蓄えています。
23億ドルの現金とわずか8億ドルの負債という堅実なバランスシートを同社は持っており、キャッシュフローがマイナスになったとしても、資金調達について考えることなく、同社は長い間、事業を続けることができます。
しかし、そのようなことが起こる可能性は非常に低いと思われます。同社は2021年に12億ドルのフリーキャッシュフローを獲得しており、定期的にプラスのフリーキャッシュフローを手にすることができる規模に達しています。
サイバーセキュリティという新興の分野でマーケットリーダーとして君臨しつつあるクラウドストライクは今後長期的な成長が期待できる銘柄です。
*過去記事はこちら クラウドストライク CRWD