前日に第3四半期決算を発表したアップスタート・ホールディングス(UPST)の株価が11月9日、大きく下落しています。取引開始時に26.4%も急落しましたが、その後値を戻しこの記事を書いている時点(米国東部時間1:11PM)では12.61%安の16.64ドルで取引されています。
下落の理由は「アップスタート 業績、見通しともに予想を下回り暴落」に書きましたとおり、業績とガイダンスがアナリストの予想を大きく下回ったからですが、それは他の指標にも表れています。同社の銀行と自動車のパートナーが第3四半期に実行したローンの数は、前年同期比48%減の188,519件でした。これらのローンの総額は18億5000万ドルで、41%減少しています。
コンバージョン率も打撃を受け、前年同期の23%から9.7%に低下しました。明るい話題としては、貢献利益96百万ドルが95.9百万ドルから増加し、貢献利益率は前年同期の46%から54%に上昇したことです。
この業績をもたらした原因として、最高財務責任者(CFO)のサンジェイ・ダッタ氏は、「マクロ経済状況の変化に対応するために当社のモデルを調整した結果、当社のローンは年初より大幅に高いAPR(年換算利回り)で価格設定されており、これが現在経験している事業全体のボリューム縮小の主要因の1つになっています」と説明しています。
さらにアップスタートの共同創業者兼CEOのデイブ・ジルーアード氏はアナリスト向けの電話会議の冒頭で以下のように述べています。
第3四半期の業績は、確かに私たちが望んだものではありませんでしたが、これは、非常に厳しい経済環境の中で、アップスタートチームが会社の長期的な成功のために正しい決断をしたことを反映しているとも考えています。
当社の売上が減少したのは、主に当社のプラットフォームにおけるローン量が減少したためであり、次に、信用市場が極めて慎重であり、さらには混乱しているためです。金利が上昇し、経済のリスクが大幅に高まっているため、1年前に比べて承認する申請者が約40%減少しています。そして、今日承認された人たちは、1年前に比べて約800ベーシスポイント高いオファーを受けています。このことが、取扱高の減少の大部分を占めています。
当社の提携金融機関の多くは、融資額を減らすか、金利を引き上げるか、あるいはその両方を行いました。これは一般的に、2018年にプログラムが始まって以来、彼らのアップスタート搭載のローンポートフォリオが予想を満たすか上回るという経済に関して、警戒心が強いからです。
しかし、はっきりさせておきたいのは、金利が上昇し消費者リスクが高まっているときの融資量の収縮は、私たちのプラットフォームの特徴であり、バグではありません。実際、貸し手や投資家が期待するリターンを生み出すためには必要なことです。
予想損失率の上昇、貸し手の警戒心、クレジット投資家が求める利回りの上昇など、金利の上昇と取引量の減少は、私たちが数字に不満を感じているのと同様に、システムが意図したとおりに機能していることを意味しています。
金利の上昇と債務不履行の急増への懸念から融資量が縮小している現状は今後しばらくは続きそうで、当面アップスタートの株価は厳しい局面が続くことが予想されます。
明るい材料としては、時価総額は現在、売上高の1.5倍以下となっており、AI融資で業界を破壊するディスラプター株としては株価が非常に割安な水準になっていることでしょうか。それでもここで買うにはかなりの胆力が必要ですが。
*過去記事はこちら アップスタート UPST