テスラ(TSLA)は近い将来、自社の充電ネットワークを他のEVのドライバーにも開放する準備を整えつつあるようです。
テスラの投資家であるソーヤー・メリット氏は8月16日、ツィッターでそのことに気づいたことをつぶやき、複数のメディアがこれを取り上げました。メリット氏はソーシャルメディアで活発に活動し、テスラについて頻繁に投稿しており、28万人以上のフォロワーがいます。
同氏がテスラのアプリを使っていたところ、テスラ以外の所有者が充電できるオプションを発見。コネチカット州フェアフィールド郡で試したところ、近くにテスラ以外のドライバーが利用できるテスラ充電器がないと表示されたそうですが、18日時点でもこのオプションは消えていないと同氏は米国の経済誌バロンズのインタビューに答えています。
テスラがテスラ以外のEVへの充電計画を段階的に進めていることは事実です。CEOのイーロン・マスク氏は「テスラはおそらく非テスラ車のネットワーク利用を認めるだろう」と語ったことがあります。同社は2021年11月にヨーロッパでそのためのパイロットプロジェクトを導入しており、現在はその計画を米国でも展開しつつあるのかもしれません。
テスラは地球上で最大級の急速充電器ネットワークを持っています。その急速充電器は、数分で80km〜160kmの航続距離を実現することができ、家庭のコンセントから給油するよりもはるかに速いため、開放されると、他のEVのドライバーが殺到することは容易に想像できます。
テスラにとって充電ネットワークの開放は多くのメリットがあります。充電器の利用者が増えれば収入が増えるだけでなく、システムを開放することでEV充電インフラの建設に充てられる連邦政府の資金を利用しやすくなる可能性が高くります。また、販売台数が増え、資本コストが下がれば、かなり良い条件でネットワークの充実を行うことができます。
デメリットとしては、テスラのEVのオーナーが使いたい時に、他社のEVに占拠されてすぐに使えないという不満が出てくる可能性があげられますが、EVの普及率が米国よりはるかに高い欧州ではパイロットプロジェクトにおいて問題になっていないようです。
テスラが他の車に同社のネットワークを利用させることで、売上と収益をどれだけ増やすことができるかは不明ですが、ゴールドマン・サックスのアナリスト、マーク・デレーニー氏は最近、数年先には10億ドルから30億ドルの増収が期待でき、ボトムラインの業績に1株あたり約75セントの利益を追加することができるとの試算を発表しています。
テスラは2024年に1株当たり20ドルの利益をあげると予想されているため、この金額はそれほど大きなものではありませんが、それでも魅力的な数字ではあります。
*過去記事はこちら テスラ TSLA