アマゾン 第2四半期決算の4つの注目ポイント

アマゾン 売上が予想を上回り株価高騰」でお伝えしたアマゾン(AMZN)の第2四半期決算で特に注目されるのが以下の4つのポイントです。

AWSの躍進

今やアマゾンの屋台骨を支えていると言っても過言ではないクラウドコンピューティング事業のアマゾン・ウエブ・サービス(AWS)。決算発表前には経済状況の悪化によりさしものAWSの成長も減速するのではと懸念する声もありましたが、それが全くの杞憂に過ぎなかったことが明らかになりました。

売上高は、ウォール街の予想通り33%増の197億ドルを計上。営業利益率は29%で、前期の35.3%から大きく低下しましたが、これは第2四半期は毎年従業員の株式報酬が確定するため、AWSの経費はいつも高くなることが影響したものと思われます。前年同期と比較すると、営業利益率は0.7ポイント増えています。

経営陣は、AWSに多額の投資をしていることを強調しており、そのことが目先のマージンを圧迫しています。しかし、それもAWSの長期的な成長見通しに対する自信の表れだと考えられます。AWSの受注残は、売上の成長率のほぼ2倍となる65%もの増加を記録したと経営陣は述べています。

設備コストの削減

パンデミック時の投資で過剰になった設備の問題へアマゾンは対応しようとしています。従業員数は約10万人減少し、eコマース部門向けの派遣社員の採用は抑えられています。

アマゾンは前四半期に60億ドルの過剰コストがかかっていることを認めましたが、第2四半期末までに主にフルフィルメントネットワークの人員削減によって約15億ドルの過剰設備コストを減らしたことを明らかにしています。

また、アマゾンは余剰倉庫スペースの転貸も行っており、キャパシティが拡大するにつれて、今後もその恩恵を受けられると述べています。また、経営陣はアナリストとの電話会議で、配送の効率と密度を向上させていると述べています。

ライバルを圧倒するデジタル広告の成長

アマゾンの広告収入は18%増で、デジタル広告費の大幅な引き下げが見られた四半期において、見事な伸びを示しました。

ライバルとなる大手デジタル広告企業の第2四半期の広告事業の成長率は、アルファベット(GOOGL)13.5%、メタ・プラットフォームズ(META)-0.7%、スナップ(SNAP)13.1%、ロク(ROKU)26.5%となっています。

ロクには負けてしまいましたが、ロクの売上高は6億7300万ドルに過ぎず、87億5700万ドルのアマゾンとは大きな差があります。

売上高では406億8900万ドルのアルファベット、288億2200万ドルのメタに大きく水を開けられていますが、マイナス成長となったメタを急速に追い上げていることがわかります。

これは、グーグルの検索広告と同じようにアマゾンの検索広告も顧客が何を検索するかでその意図を測ることができるため、他の一般的なブランド広告よりも効率的で、広告主がそれを評価して両社への支出を落とさなかったことによると思われます。

アマゾンもプライムやFire Stick事業を通じてコネクテッドTVからかなりの量の広告を得ており、ロクの成長率が示すように、コネクテッドTVの存在もソーシャルメディアを凌駕している要因になっていると考えられます。

「その他の売上」の急増

アマゾンがその中身を公表していないため、「その他の売上」というカテゴリーはあまり注目されていませんが、このカテゴリーは第2四半期において131%増、10億ドルを超えるという目を見張るような急成長を遂げました。

ひとつの可能性として考えられるのは、アマゾンのサードパーティ店舗向け「Just Walk Out」技術の売上がこのカテゴリーでカウントされていることです。経済が再開されるなか、アマゾンはナッシュビルの空港やシアトルのTモバイルパークなど多くのサードパーティ店舗に「Just Walk Out」技術を導入しています。

第2四半期のこのカテゴリーの急増が一過性のものなのか、それとも継続的なものなのかは今後の要注目ポイントです。アマゾンの次の大きなビジネスの種がここに眠っているかもしれません。

*過去記事はこちら アマゾン AMZN

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