ショッピファイ(SHOP)は、あらゆる規模の小売業者が独自のオンライン小売ビジネスを構築・運営できるよう、フルサービスの eコマース・プラットフォームを提供しています。同社のプラットフォームでは、店舗構築、注文処理、支払い処理、配送サービス、製品およびサービスの販売などを支援するツールを使用することができます。
ショッピファイは、eコマースのインフラ企業として考えるのが最も適切かもしれません。同社は、最終消費者に直接商品やサービスを販売するのではなく、販売者がオンラインビジネスを運営し、消費者に商品やサービスを提供しやすくするプラットフォームやツールを提供しています。昨年度、ショッピファイは46億ドル以上の売上と29億ドル以上の純利益を上げました。
2021年、同社は206万社の加盟店を獲得しました。2020年末の175万社から18%増えています。これらの加盟店の約55%は、ショッピファイの本社があるカナダを含む北米の加盟店です。ショッピファイは世界進出を狙っており、全体として1600億ドル規模の市場があると見ています。
2021年、ショッピファイのプラットフォームは米国の小売電子商取引売上高全体の10.3%を占め、同社はこの部門でアマゾン(AMZN)に次ぐ2位となりました。競争の激しいeコマース市場で確固たる地位を築いていることはこの数字を見ても明らかです。
ショピファイは、パンデミックの際にも勝者となりました。世界的なパンデミックにより、多くの実店舗が閉鎖され、人々はますますオンラインショッピングに傾倒し、パンデミック以前からのトレンドが加速されました。2021年末時点で約175カ国、200万以上の加盟店がプラットフォームを利用しているショッピファイは、eコマースへのシフトの大きな恩恵を受けました。
パンデミックが終わり、世界中で規制が緩和される中、ショピファイの成長は少し鈍化しています。今年第1四半期の売上は、1年前の47%増に対して22%増となりました。しかし、同社の事業の長期的な健全性は失われていません。
ショッピファイは、世界中の多くの電子小売業者にとって依然として重要なパートナーであり、経営陣は引き続き事業の改善と成長を目指しています。例えば、前四半期には、ショッピファイ・マーケッツ の全加盟店への展開を完了しました。これにより、国境を越えた取引が容易になり、販売者が他の地域に事業を拡大するのを支援します。
また、ショピファイはフルフィルメント・ソリューションの拡大も続けています。Deliverr の買収は、ショッピファイ のフルフィルメント・プラットフォームを大きく改善し、物流関連の技術、専門知識、パートナーシップをもたらすはずです。Deliverrは、ショッピファイがアマゾンなどとより効果的に競争するための物流・配送サービスを加盟店に提供するのに役立つものと期待されます。
ですから、このDeliverrの統合がうまく行くかという点が今後数四半期にわたって注目されることになります。経営陣は現在、期待される効果を出せるように懸命に取り組んでいますが、もしDeliverrで目標を達成できなかった場合、非常に高くつく誤算となる可能性があります。
また、世界的な大流行からの回復に伴い、売上と商品総量の伸びも注目を集めています。消費者も販売業者も、再び対面販売という選択肢を得たのですから、パンデミック初期のような成長は見込めないものの、2桁の成長は維持していきたいところです。
短期的には苦しい局面が続くかもしれませんが、アドレス可能な膨大な市場を持つショッピファイは売上を伸ばし続け、最終的には安定した利益を生むようになると期待できます。現在株価は2019年秋の水準まで下落しています。まだこの可能性に満ちた企業の株を手にしていないのであれば、今がその良い機会だと思われます。
*過去記事はこちら ショッピファイ SHOP