競争で優位性を持ち強力なキャッシュフローを持つ企業は、長期的に市場を圧倒するリターンをもたらしてくれます。一貫してキャッシュフローを生み出しており、今日の弱気相場でも安心して投資できる銘柄をモトリーフールがピックアップしていますので、ご紹介します。
マスターカード（MA）
マスターカードは世界第2位の決済ネットワークを運営し、クレジットカードやデビットカード、その他の決済商品を通じて、顧客のグローバルな資金移動をサポートしています。
マスターカードの決済ネットワークは、ネットワーク効果により、同社に大きな競争力を与えています。つまり、ネットワークが拡大すればするほど、競合他社が参入しにくくなり、高い競争力を保つことができるのです。マスターカードとビザがクレジットカードとデビットカード市場の90％を占め、決済市場を支配しているのもネットワーク効果によるものです。
マスターカードの利益率を見ると、この競争力の高さがよくわかります。過去10年間、平均して40%近くを記録しています。また、マスターカードのビジネスは比較的資産が少なく、フリーキャッシュフロー（営業費用と資本資産を支払った後に残る現金）は、過去10年間でほぼ13%の年複利成長率で伸びています。
強力なフリーキャッシュフローは、マスターカードが配当と自社株買いによって投資家に報いるのを助け、さまざまな景気サイクルの波を乗り切ることを可能にしています。経済の不確実性が続く中、他の企業が守りに入る一方で、マスターカードは攻めに転じ、大幅な値引きで買収を行うことができます。そうしたこともこの株をポートフォリオに加えるべき理由の1つです。
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S&Pグローバル（SPGI）
S&Pグローバルは、資本市場および商品市場の参加者にデータやベンチマークを提供しています。同社は世界中の企業の格付けを行い、債券市場に不可欠な存在となっています。企業が債券を売却して資金を調達しようとするとき、S&Pグローバルなどの信用格付け機関は企業のリスクを評価し、支払う利息の額を決定する等級を割り当てます。
規制があるため、信用格付けビジネスへの参入は難しく、この参入障壁の高さが、S&Pグローバルに大きな優位性をもたらし、S&Pグローバルがムーディーズとほぼ同じ40%の市場シェアを持つ理由となっています。
この競争優位性が高い粗利益率につながり、過去10年間の平均は約70%を記録しています。この高い利益率が、同社のフリーキャッシュフローが年複利15%で成長してきた大きな理由です。
S&Pグローバルの売上の50％は信用格付け事業によるものですが、今年、米国での債券発行が35％減少したため、大幅に減速しています。にもかかわらず、調査、分析、インデックス商品などS&Pグローバルの他の事業部門は昨年より51％成長し、同社の総売上は昨年より増加しています。
S&Pグローバルは、トップクラスの格付け機関としての地位と、アセットライトなビジネスモデルにより、確実に現金を稼ぎだすことができる安心銘柄と言うことができます。
プログレッシブ（PGR）
プログレッシブは、主に個人と企業向けに自動車保険を販売しています。同社は、テレマティクスと呼ばれる運転行動の分析により保険料の値付けを行い、競争力を高めています。
テレマティクスとは、車に搭載された装置や携帯電話のアプリから収集したデータを使って運転行動を追跡する技術です。収集するデータには、走行距離、速度、制動時間、走行時間帯などが含まれます。そして、安全運転で割引が受けられるような、カスタマイズされたレートを開発するのです。プログレッシブは、2011年に「プログレッシブ・スナップショット」という商品でこのサービスを広く提供し、先行者利益を得ています。
この技術的な優位性は、プログレッシブが長年にわたり業界をリードする収益性の高い保険契約を獲得していることにつながっています。
保険業界の収益性を測る指標のひとつにコンバインド・レシオがあります。この比率は、保険金請求による損失と営業経費の合計を総収入保険料で割ったものであり、この比率が100％以下であれば、その会社は利益率の高い保険契約を締結していることを意味し、低ければ低いほど良いということになります。プログレッシブのコンバインド・レシオは、この20年間、一貫して業界平均をアウトパフォームしています。
この強力な引受能力が、プログレッシブのフリーキャッシュフローが過去10年間、年複利で17％の割合で成長してきた理由です。
テレマティクスをビジネスに取り入れる保険会社が増えており、プログレッシブは脅威の増大に直面しています。しかし、同社は競合他社に先んじたために長年蓄積してきたデータを有しており、業界を凌駕し続けることができる可能性は高いと思われます。