景気の後退が懸念されていますが、ミッションクリティカルなサービスを顧客に提供している会社は、景気の良し悪しに関係なく業績を伸ばして行くことができます。そんな不況に強いハイテク株をモトリーフールがピックアップしていますので、ご紹介します。
スノーフレーク（SNOW）
大企業では、複数のクラウドプラットフォームにデータを保存していることが多く、データ全体の分析が困難になっています。スノーフレークは、企業がプラットフォームに依存しない単一のソースにデータを統合できるようにすることで、この問題を解決しています。
スノーフレークの製品はミッションクリティカルです。なぜなら、ほぼすべてのビジネスが、業務を改善し、競争上の優位性を生み出すために、継続的に収集するデータを分析する必要があるからです。スノーフレークの分析サービスには、どのような経済環境下でも継続的に需要があります。
このような業務を展開しているため、同社は順調に成長を続けています。2023年第1四半期（4月30日締め）の売上高は、前年同期比85％増の4億2200万ドルに急拡大しました。同社は通期で製品売上が66％成長すると予想しています。この見通しは第4四半期の時の見通しと変わっておらず、企業が支出を削減する懸念が高まっているにもかかわらず、同社はそれが事業に大きな影響を与えないと考えていることが分かります。
スノーフレークは不況と全く無縁ではありません。一部の特定顧客がマクロ経済的な逆風の影響を受けると同社は考えています。しかし、同社は主に大企業をターゲットにしており、中小企業よりも景気後退の影響を受けにくく、したがって使用習慣を大幅に変更する可能性も低いため、この影響は投資家が予想しているほど大きくないかもしれません。顧客重視の姿勢と製品の特性により、スノーフレークは比較的回復力があると思われます。
短期的な変動があったとしても、スノーフレークの長期的な展望は明るいものです。同社は、現在の市場機会の総額は900億ドル相当と見ており、こうしたマクロ経済的な逆風が吹く可能性はあるものの、最高財務責任者のマイク・スカーペリ氏は次のように述べています。
「消費パターンは四半期ごとに変動する可能性がありますが、この変動は、当社の長期的なビジネスチャンスを損なうものではありません。お客様のスノーフレークに対する全体的な需要に変化はありません。」
第1四半期に1億7200万ドルのフリー・キャッシュフローを生み出し、通期では16％の調整後フリー・キャッシュフロー・マージンが見込まれることから、同社はサービスの革新と強化を続けるために十分な資金を確保することができます。
売上高の27倍という株価は、決して安くはありません。しかし、この不況に強いビジネスを持つ会社への投資は非常に魅力的です。定期的に買い増すことでポジションを築いて行くことは、長期的には賢明かもしれません。
＊過去記事はこちら スノーフレーク SNOW
Zスケーラー（ZS）
サイバーセキュリティも不況に強い産業で、どんな経済環境下でも企業がお金を使い続ける可能性が高い分野です。
Zスケーラーによると、2021年に世界のクラウドで観測されたフィッシング攻撃は約8億7400万件で、前年比29％増となりました。このことから、サイバーセキュリティの必要性がこれまで以上に強調されていますが、Zスケーラーはこの業界でトップクラスのシェアを誇っています。このため、同社は不況下でも成長できる態勢が整っていると言えます。
Zスケーラーはゼロトラスト領域で事業を展開しており、機密性の高いビジネスデータやアプリケーションにアクセスする際に、その人が本人であることを確認することができます。グローバル企業2,000社の30%、フォーチュン500社の40%を含む5,600社以上の顧客を有しています。
マクロ経済の不透明な逆風にもかかわらず、Zスケーラーは直近の四半期決算でガイダンスを上方修正し、7月31日に終了する通期の売上高を10億8000万ドルと予想しています。これは、以前のガイダンスの上限値を3％引き上げたもので、景気に関係なくサイバーセキュリティの需要が継続するという同社の自信を示しています。
Zスケーラー以外にもサイバーセキュリティの選択肢はあり、中にはより安価なものもあるかもしれません。そのため、Zスケーラーは不況時には、それらの安価なプラットフォームに顧客を奪われる可能性があります。
しかし、サイバーセキュリティは非常に重要になってきているため、企業はZスケーラーのようなトップクラスのセキュリティ・プラットフォームにプレミアム料金を払い続けたいと思うかもしれません。
スノーフレークと同様、Zスケーラーは売上高の21.5倍という高い評価額で取引されています。しかし、Zスケーラーは、現在720億ドル、将来的にはそれ以上の価値があると思われる市場において、圧倒的な存在感を示しています。
投資家は今、高いプレミアムを支払わなければならないかもしれませんが、この会社は、顧客ベースを拡大し続け、企業市場のリーダーとしての地位を確立できれば、短期的にも長期的にも成長できるように思われます。