エヌビディア 一転して株価は上昇、しかし最大のリスクはまだ先にある?

5月25日のマーケット終了後に第1四半期決算を発表したあと、時間外取引で一時7%近く下落していたエヌビディア(NVDA)の株価ですが、26日の市場では一転して上昇し、終値は5.16%増の178.51ドルとなりました。

決算発表でロシアでの事業縮小と中国でのコロナ関連の製造停止による影響を理由に、7月期の業績見通しを引き下げたことがアフターマーケットでの下落につながりましたが、どうやら市場は今回の決算発表で株価は底を打ったと判断したようです。

今回の決算発表内容についてのアナリストの評価はさまざまで、特にゲーム事業の先行きについて不安を持つアナリストが多いようです。

それでも、決算発表を受けてJPモルガン、カウエン、米国みずほ証券など6社が「買い」相当の強気の格付けを維持することを発表しています。

エヌビディアを担当する45人のアナリストのうち、38人が買い評価、6人がホールド評価、1人が売り評価となっています。そのうち、24人が目標株価を引き下げ、その結果、平均目標株価はこれまでの306.68ドルから263.78ドルに引き下げられました。

そんな中でも強く警鐘を鳴らしているのが経済誌バロンズでテクノロジーのコラムを担当しているTae Kim氏です。

「エヌビディアの最大のリスクはまだ先にある。株価下落が終わらない理由」と題する記事の中で同氏は、一部のアナリストがデータセンター事業の成長が他の事業の弱さを相殺することができると期待していることに疑問を呈し、暗号バブルがエヌビディアのビジネスに与え続けている影響をあまりにも軽視していると主張しています。

同氏によれば、エヌビディアのゲームカードは、主に時価総額で第2位の暗号通貨であるイーサリアムの採掘に使用されています。2021年以降、同社はグラフィックスカードの価格を積極的に引き上げることで、マイナーの空前の需要に便乗してきており、その結果としてエヌビディアのハイエンドカードは現在、2,000ドルもする価格で販売されていると指摘しています。

しかし、今年に入って暗号通貨市場が崩壊し、需要ブームが逆転しつつあるそうで、今月初め、PC用グラフィックカードの大手メーカーAsustekが、マイナーの需要が “消滅している “と述べたことをKim氏は指摘しています。

同氏が最も懸念しているのは、イーサリアムは今後数カ月、早ければ8月に「プルーフ・オブ・ワーク」モデルから「プルーフ・オブ・ステーク」モデルに移行し、グラフィックカードを使ったマイニングは必要なくなると予想されていることです。

そうなれば、何十億ドルものエヌビディア製カードが中古市場にあふれる可能性があると同氏は指摘しています。

Kim氏はエヌビディアに対してイーサリアム移行後の同社製品の価格設定リスクについてコメントを求めたそうですが、すぐに回答はなかったそうです。

25日の決算説明会において、経営陣は暗号通貨マイニングによる需要への影響について「限られた視界しかない」と述べ、プルーフ・オブ・ステークモデルへの移行による影響は予測が困難であると述べています。

Kim氏は少なくとも、経済環境の減速により、以前の製品サイクルの2倍の価格設定である2,000ドルのエヌビディアカードに大きな需要があった時代は終わったと見ており、最終的には、価格設定を暗号通貨とは関係のない通常のレベルまで下げる必要があり、エヌビディアの収益性に打撃を与えることになると予測しています。

「エヌビディアは主に、今四半期の問題の大半をロシア・ウクライナ戦争と中国の問題のせいにしており、アメリカでの需要動向は堅調であると付け加えているが、こうした海外の問題では、同社のグラフィックカードがアマゾンからイーベイまで、米国の主要ウェブサイトで定価より値引きされて販売されることが増えている理由を説明することはできない」と同氏は述べています。

エヌビディアはいまだ危機を脱したわけではなく、今後数四半期で再び下方修正される可能性のあるリスクは残っていると同氏は分析しています。

*過去記事はこちら  エヌビディアNVDA

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