半導体関連銘柄に疑念を抱いてきたウォール街のアナリストでさえ、今年に入ってからの同セクターの下落幅には驚いています。パイパー・サンドラーのアナリスト、ハーシュ・クマール氏は5月17日、広範囲に及ぶ暴落が今、魅力的な買い場を提供していると述べています。
同氏は、「半導体株の急落には少々困惑している。我々は、年初から半導体株に対してより慎重なアプローチを取ってきたが、よりポジティブなスタンスに移行している」とその姿勢を変えたことを明らかにしました。
ICE半導体インデックスのパフォーマンスに連動するiShares半導体ETF(SOXX)は、16日までに26%下落しており、S&P500の16%下落に比べ、下落幅が大きくなっています。
クマール氏は、現在の半導体株のバリュエーションは、ウォール街が今年後半、売上が縮小すると予測していたことをすでに反映していると指摘しています。そして、このセクターの企業はグループとして、S&P 500の倍率に対して過去10年近くで最低に近い株価収益率で取引されていると見ています。
中国がCovid-19の封鎖を解除し、半導体製造のサプライチェーンで不足が解消されれば、半導体関連銘柄の業績は向上する可能性が高いと、同氏は述べています。
ただ、銘柄の選定には注意が必要で、同氏は、企業の支出に関連する銘柄が不況時にアウトパフォームするとして、クアルコム(QCOM)、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)、マーベル ( MRVL )、オン・セミコンダクター(ON)を、現在の環境における半導体関連銘柄のトップピックとして推奨しています。
AMDとマーベルは、回復力のある企業データセンター市場への販売で成功を収めています。今月初め、AMDはEPYCサーバー・プロセッサー事業の売上が3月期に2倍以上になったと発表しました。オン・セミコンダクターは、需要が他の分野よりも好調な自動車および産業用セグメントにも進出しています。
モバイル・プロセッサーと5Gワイヤレス・チップのメーカーであるクアルコムは先月、好業績を発表しました。消費者需要の水準は携帯電話事業にリスクをもたしますが、クマール氏は、モノのインターネットや自動車向けチップのサプライヤーとしてのクアルコムの成功を、市場は過小評価していると考えています。