ストリーミングビデオ大手のネットフリックス(NFLX)は、加入者の純減を含む期待外れの3月期決算を発表し、4月19日のアフターマーケットで株価が大きく下げています。
ネットフリックスは同四半期に20万人の純加入者数を失いました。この数字には、同社がサービスを停止しているロシアでの70万人の加入者減が含まれておりこの減少が招いた数字ですが、仮にそれがなかったとしても、純増数250万人という会社予想には大きく及びません。
さらに悪いことに、ネットフリックスは6月期に200万人の純加入者数を失うと予想しており、これもストリート予想を大きく下回っています。ネットフリックスの株価は時間外取引で26.29%下落し、256.95ドルで取引されています(米国東部時間5:27PM)。
当四半期の売上高は78億7,000万ドルで、9.8%増となり、ファクトセット調べのコンセンサス予想79億4,000万ドルをわずかに下回る程度でした。利益は1株当たり3.53ドルで、コンセンサス予想の2.95ドルを上回りました。6月期は、売上高80億5,000万ドル、1株当たり利益3ドルとの見通しを示しましたが、コンセンサス予想では、売上高82億ドル、1株当たり利益3ドルとされていました。
同社は株主宛ての書簡で、「当社の売上成長は、当社の業績と予想が示すように、かなり減速しています」と述べ「私たちが予測したように、ストリーミングはリニアに勝っており、ネットフリックスのタイトルは世界的に非常に人気があります。しかし、当社の世帯普及率は比較的高く、アカウントを共有している世帯が多いこともあり、競争も激しく、売上成長には逆風が吹いています。コロナがストリーミングを大きく後押ししたことで、最近までその状況が見えにくくなっていました」と述べています。
書簡の中で、ネットフリックスは、アカウントの共有など、予想を下回る業績の複数の要因について説明しています。同社は、約2億2,200万世帯の有料会員に加え、米国とカナダで3,000万世帯を含む1億世帯が共有アカウントを使用していると推定しています。同社は、こうした非課金世帯は「大きなチャンス」であり、個々の家庭を超えて共有を減らすことができると述べています。
また、同社は、競争がより大きな問題になってきていることも認めています。「この3年間、伝統的なエンターテインメント企業がストリーミングが将来的なものであると認識するにつれ、多くの新しいストリーミングサービスも立ち上がりました。視聴シェアの向上は、満足度の向上を示すものであり、それが定着率や収益の向上につながります」と述べています。
経営陣はまた、経済成長の鈍化、インフレの進行、ロシアのウクライナ侵攻、コロナに関連するいくつかの混乱の継続などの「マクロ要因」が成長鈍化の原因になっているとしています。
「当社の計画は、ネットフリックスのあらゆる側面、特に会員が最も高く評価している番組と推奨の質の改善を続けることによって、視聴と収益の成長を再加速させることです。ネットフリックスは、2桁の売上成長を維持し、営業利益をより速く成長させ、その結果、プラスのフリーキャッシュフローを増加させることを目標としています」と同社は述べています。
ネットフリックスによると、当四半期の営業活動による純キャッシュは9億2,300万ドルで、フリーキャッシュフローは8億200万ドル。負債総額は146億ドル、純負債額は86億ドルでした。同社は当四半期、自社株買いは行いませんでした。
当四半期の加入者の低迷は、世界の複数の地域で見られました。米国とカナダでは、64万人の加入者が純減し、合計で7,460万人に減少しました。ネットフリックスはこの減少の理由を、両国で最近実施された値上げのためとしています。
ヨーロッパ、中東、アフリカ地域では、ロシアの全加入者の喪失を含め、加入者が30万人減少しました。中南米では、35万人の純加入者減となっています。しかし、アジア太平洋地域では109万人の純増となっており、両地域での減少が相殺されています。
*過去記事はこちら ネットフリックス NFLX