ここ数十年、世界の平均寿命の延伸において、ヘルスケア産業ほど重要な役割を果たした産業はありません。現在80億人近い世界人口は、2050年には100億人弱まで増加すると予想されており、世界中のヘルスケア製品・サービスに対する需要は大幅に増加することが予想されています。
世界人口の増加により業績が向上し、増配が期待されるヘルスケア関連の配当銘柄をモトリーフールがピックアップしていますので、ご紹介します。
ユナイテッドヘルス・グループ(UNH)
医療保険会社のユナイテッドヘルス・グループは、2021年に2桁の増収増益を記録しています。そして、この2桁の収益成長は今後も続くようです。医療費の増大と慢性疾患の発生が、世界の医療保険市場の今後の堅調な成長につながるはずです。
市場調査会社バンテージ・マーケット・リサーチが、2028年までに市場が年率4.4%で成長し、3兆3,000億ドルに達すると予測しているのはこのためです。この予測に加え、業界大手としてのユナイテッドヘルスのポジションが同社の将来展望を明るいものとしています。そしてそれが、アナリストが、今後5年間の収益が年率14.6%で成長すると予想する理由となっています。
同社の1.1%の配当利回りは、S&P 500の1.4%の利回りよりやや低いのため、配当志向の投資家の興味を引くことは難しいかもしれません。しかし、29%の配当性向、強い収益成長見通し、10%台後半の潜在的な年間配当成長率により、目先の配当利回りの低さを補うことができると思われます。
株価はこの1年で45%上昇し、予想PER(株価収益率)は25倍まで上昇しています。これはS&P500の19倍よりかなり高いものですが、この銘柄の可能性からすれば、バリュエーションはまだ過大ではないように思われます。
アボット・ラボラトリーズ(ABT)
総合ヘルスケア銘柄のアボット・ラボラトリーズの事業は、診断薬(BinaxNOW COVID-19検査など)、医療機器、栄養(EnsureやGlucernaなどのブランドが牽引)、既存医薬品(新興国でのブランドジェネリック医薬品)の4分野で構成されています。
同社の2大セグメントである診断薬と医療機器は、2021年の総収入の70%近くを占めていますが、この2つは、今後数年間、好調に推移する可能性が高いと見られます。
市場調査会社のデータブリッジ・マーケット・リサーチは、世界の診断薬市場は2021年の1,625億ドルから年率9%で成長し、2029年には3,399億ドルになると予測しています。また、市場調査会社のモルドール・インテリジェンスは、世界の医療機器市場は2021年の5,326億ドルから2027年には7,344億ドルへと年率5.5%で増加すると見ています。
アボット・ラボの評判の高いブランドと、診断および医療機器市場の有望な見通しが、力強い成長につながるはずです。実際、アナリストは、今後5年間で、株価の収益が年間12.1%成長すると予想しています。
さらに、アボットは、S&P500を上回る1.6%の配当利回りを投資家に提供しています。また、2021年の配当性向は34.5%であったため、少なくとも配当は収益に連動して増加することが可能です。このため、アボットは利回りと成長の魅力的な組み合わせを安定的に投資家に提供することができる魅力的な銘柄になっています。
アボットの予想PERも24倍とS&P500の19倍を上回っていますが、安定した配当と将来の成長余地を考えると割高であることは正当化されると考えられます。