マイクロソフト Office 365の成長懸念で株価下落

マイクロソフト(MSFT)の株価が、PC市場の成長鈍化の影響を受けるのではないかという懸念から、圧力を受けています。特に、同社の主力生産性ソフトウェアであるOffice 365で生み出してきた力強い成長の後がどうなるのか心配されています。

IDCの新しいデータによると、コロナの大流行による過去2年間の需要急増の後、3月期の世界のPC出荷台数は前年同期比5.1%減となりました。この数字は、特に消費者向けPCの需要が、より多くの人々がオフィスでの仕事に戻るにつれて軟化することを示唆する他の最近のデータも裏付けています。

UBSのアナリスト、カール・キーステッド氏は4月11日付けのリサーチノートで、マイクロソフトのOffice 365事業の2022年6月期の売上高が351億ドルになると予想され、過去6四半期で19%から21%の成長を遂げたことになると予想しています。Officeは現在、マイクロソフトのクラウド・コンピューティング・プラットフォームであるAzureに次ぐ、第2位の事業になっているそうです。

同氏は、業界関係者と話した上で、「巨大化したOffice 365は、商用PCユーザーにおける高い普及率と、パンデミックによってもたらされる在宅勤務からの恩恵が薄れていることから、緩やかに減速し始めるだろう」と書いています。

同氏はOfficeが大きな成功をおさめたことは、競合するアルファベットのGoogle G Suiteを圧倒したことに見て取れるとしています。「我々のチェックでは、Google Cloudは、エンタープライズセグメントでMicrosoft Office 365を置き換えるという目標をほぼあきらめ、代わりにAzureに対する(Google Cloudの)競争力を高める努力にシフトしている」と同氏は書いています。

ただ、Officeが生産性ソフトウェアの市場で大成功を収めたことで、残された成長機会が減少したと同氏は述べています。同氏の財務モデルでは、2023年度の商用Office 365の売上成長率を、前回の19.1%から17.4%に引き下げたそうです。

同氏は、Windowsを含むマイクロソフトの他のいくつかの事業についても、「PCの成長鈍化のリスクが高い」ことを反映し、予想を引き下げると述べています。

そして、6月期の経営陣のガイダンスがウォール街の予想より低くなる可能性があると見ています。同氏は、6月期の売上高を前回予想の532億,2600万ドルから525億6,900万ドルに下方修正し、ウォール街のコンセンサス予想である528億9,000万ドルも下回るとの見通しを示しました。

とはいえ、キーステッド氏はマイクロソフトの株を「買い」とし、目標株価360ドルを維持しました。今年末から来年初めにかけて経済が悪化した場合、同株式は避難先としてみなされる可能性が高いと評価しています。

マイクロソフトの4月11日の終値は3.94%減の285.26ドルとなりました。

*過去記事はこちら マイクロソフト MSFT

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