世界の情勢が混沌とする中、銅、貴金属、鉄鋼の業界も需要パターンの変化の影響を受けています。そんな変化の影響を受けながらも長期的に成長する大きな可能性を秘めた銘柄をモトリーフールがピックパップしていますので、ご紹介します。
フリーポート・マクモラン(FCX)
フリーポート・マクモランは、国際的な鉱山会社です。メインは銅鉱山(2021年の出来高38億ポンド)ですが、金鉱山(140万オンス)の資産も持っています。
世界経済がウクライナ戦争の結果に適応するには、時間がかかると思われます。ウクライナは銅製ワイヤーハーネスの主要生産国であり、戦争による生産不足はすでに自動車メーカーの生産停止を引き起こしています。そのため、代替先となる生産者はより多くの銅を調達する必要があります。
長期的には、電気自動車や再生可能エネルギーへの移行に伴う銅の需要増が株価の決め手となります。同時に、ペルーやチリの許認可取得の困難さや政治的動向により、世界的な供給が制約される可能性もあります。フリーポート・マクモランは、インドネシアと米国に生産性の高い重要な資産を有しており、有利な立場にあります。
シバニェ・スティルウォーター(SBSW)
シバニェ・スティルウォーターは、南アフリカを中心に事業を展開する鉱山会社です。プラチナ、パラジウム、ロジウム、その他の金属、および金を生産しており、その扱い品目から投機的な投資家が好んで売買する銘柄です。
ロシアは世界のパラジウムの約40%を生産していますが、世界で同程度の市場シェアを持つ生産国は、南アフリカだけです。パラジウムは半導体の製造には必須の金属であり、さらに重要なことに、自動車の触媒コンバーターにも欠かせないものです。
そのため、潜在的な供給不足と価格の高騰により、自動車メーカーの生産縮小が懸念されています。南アフリカのパラジウムが将来的に需要増加の恩恵を受けることは間違いなく、それは、シバニェ・スティルウォーターにとっての朗報です。
ただ気をつけねばならないのは、この鉱山会社が南アフリカに拠点を置き、労働争議、労働組合との難しい関係、ストライキに苦しんできた歴史があることです。
このようにこの会社にはリスクがたくさんありますが、経営陣が労働問題を解決できると仮定すれば、貴金属需要の増加による上昇の可能性と、8.3%という驚異的な配当利回りが相まって、この銘柄は現在非常に魅力的なものになっています。
ニューコア(NUE)
ニューコアは、米国の鉄鋼メーカーです。戦争の勃発で鉄鋼価格が高騰し、2022年、同社は大きな利益をあげると見られます。ロシアとウクライナはともに鉄鋼の主要輸出国ですが、ロシアは厳しい制裁と経済的孤立に直面し、ウクライナは欧州最大級の製鉄所に被害が出ています。
ニューコアは米国、カナダ、メキシコに製鉄所を有しており、ウクライナ戦争の結果、保護主義的な緊張が高まれば、その恩恵を受ける可能性が高いと思われます。