最近のテクノロジーセクターの下落により、いくつかの優良なデジタル企業が魅力的な価格で取引されています。ポートフォリオに加える価値のある魅力的なハイテク株をモトリーフールがピックアップしていますので、ご紹介します。
スポティファイ・テクノロジーズ(SPOT)
スポティファイは、世界最大のオーディオストリーミング企業であり、過去12カ月間で、4億人を超える月間総アクティブユーザーから110億ドルの売上をあげています。
しかし、収益基盤が大きく成長しているにもかかわらず、スポティファイはデジタル同業他社に比べ、売上ベースの倍率が割安である状態が長く続いています。これは主に、スポティファイの売上総利益率の低さに起因しています。
スポティファイのプラットフォーム上のコンテンツの大半は、アーティストや大手音楽レーベルが所有しており、スポティファイは歴史的に、売上の大部分をこれらの権利者に支払う必要がありました。しかし、スポティファイが最近行ったオルタナティブ・オーディオ(特にポッドキャスト)への投資により、その状況は変わりつつあります。
ポッドキャストは主に広告によって売上を上げますが、これによってスポティファイの広告収入は2021年に約13億ドル(前年比62%増)にまで拡大しました。ポッドキャスト広告が権利者へのロイヤリティ支払いに妨げられないようになれば、スポティファイは粗利益の増加という形でその果実を得ることができます。
広告の売上は、直近の四半期では全体の15%でしたが、スポティファイのダニエル・エクCEOは、第3四半期の電話会議で、「少なくとも、売上の20%にはなるだろう」と述べてこのセグメントに対する楽観的な見方を明確に示し、さらに「今後5年から10年の間に、30%、40%を超えるかもしれない」 と付け加えています。
ウィックス・ドット・コム(WIX)
ウィックスは、ドラッグ&ドロップでウェブサイトを構築し、ホスティングするプラットフォームで、誰でも自分の望むホームページを作ることができます。
写真家、フィットネスインフルエンサー、イベントプランナー、その他誰でも、ウィックスのプラットフォームは、店舗を構えるだけでなく、デジタルビジネスを運営するための日々のタスクを実行するためのツールを提供します。
このようにあらゆるタイプのビジネスを支援するアプローチで、ウィックスは600万人のプレミアム会員を抱えるまでに成長し、コンテンツ管理システムの中でも2017年にはわずか0.6%だった市場シェアを、現在は3.2%まで急速に拡大させています。
そのサブスクリプションと「ビジネスソリューション」と呼ばれる追加製品からの売上を合わせると、ウィックスの2021年の総売上高はおよそ13億ドルに達し、前年比29%増となりました。
しかし、売上が大きく伸びているにもかかわらず、ウィックスはビジネスソリューションの提供を強化するために多額の投資を行っているため、ここ最近、同社の収益性は低下し、多くの投資家が不安を抱いています。
そんな中、前四半期にウィックスの最高財務責任者であるリオール・シェメッシュ氏が、同社のフリーキャッシュフロー・マージンは、長期的には過去の最高値である17%を上回る見込みであると述べ、不安を払拭しました。
ウィックスの現在の時価総額対売上高比率が4倍強であることを考えると、このレベルの収益性が回復し、ウィックスの安定した成長実績がある程度継続すれば、今後数年間は保有する価値のある銘柄になるはずです。
*過去記事「モンスターリターンをもたらす可能性のある次世代ハイテク株3つ」
マッチ・グループ(MTCH)
マッチ・グループは、数十の異なるブランドを持つオンライン・デートのコングロマリットです。主力アプリのティンダーに代表されるように、マッチ・グループは、耐久性があり、活気のある業界であることが証明されているいくつかの主要なマッチングサービスを所有しています。
現在ではさらに高い数字になっていると思われますが、2007年から2017年にかけて、米国ではオンラインで出会った異性カップルの割合が約20%から40%へと2倍以上に増えています。
このシフトは、マッチ・グループの有料ユーザー数が過去5年間でおよそ570万人から1,620万人に急増したことから、確実にマッチ・グループに利益をもたらしています。ティンダーがマッチ・グループをリードしているのは間違いありませんが、投資家が注目すべきブランドはそれだけではありません。
より真剣な意思を持つユーザーを対象とするヒンジは、2021年の売上を118%伸ばし、1億9,700万ドルに達しました。これはまだティンダーの売上の約12%に過ぎませんが、ヒンジはユーザーの支払い意欲が旺盛で、国際展開も始まったばかりです。
さらに、オンライン出会い系業界全般の特徴として、出会い系アプリはネットワーク効果により、規模が大きくなるほど永続的な成長を見せる傾向があることが挙げられます。このため、新規ユーザー獲得にかかる費用を抑えつつ、高い成長を維持することができます。つまり、同社が提供する新興アプリの規模が拡大すればするほど、収益性は向上することになります。
マッチ・グループは2021年に全面的に力強い成長を遂げたましたが、同社の株価はハイテク企業全体の売りの影響を受けてしまいました。マッチ・グループの株価は現在、直近の高値から40%以上下落しており、同社の評価額はより魅力的になっています。
マッチ・グループの株価は現在、企業価値(時価総額からネットキャッシュを引いたもの)と直近12カ月のフリーキャッシュフローの比率が39倍で取引されています。この倍率は、今後10年間、収益性を高めながら持続的に売上を上げることができる企業に対する適正な評価であると考えられ、同社の株価を保有する良い機会であると思われます。
*過去記事「弱気相場で買わなかったことを後悔する成長株2つ」