AI（人工知能）は、これまでのツールにはない予測機能を提供し、企業の業務を支援します。AI業界の2021年の推定ATM（獲得可能な最大市場規模）は930億ドルでしたが、2028年には10倍の年間9,970億ドルに急増すると予想されています。そんなAI産業の爆発的な成長に乗り、今後中長期にわたって株価の上昇が期待できる銘柄をモトリーフールがピックアップしていますので、ご紹介します。
シースリー・エーアイ（AI）
シースリー・エーアイは初のエンタープライズAI企業であり、テクノロジーの恩恵を受けたいが、ゼロから構築する専門知識がない可能性がある企業に対し、既製およびカスタムのAIアプリケーションを販売しています。現在、石油・ガス、金融サービス、製造、ヘルスケアなど14の業界を対象にサービスを提供しています。
例えば、石油・ガス業界の企業は、シースリー・エーアイのアプリケーションを使用して、コストのかかる機器の故障を予測し、壊滅的な生産停止を防いでいます。さらに、効率性の向上や二酸化炭素排出量の削減にも利用されています。石油大手のシェルは現在、シースリー・エーアイを使って1万台以上の機器と23の大規模資産を監視し、1カ月に1兆3000億回の予測を行っています。
同社は米国防総省と5年間で5億ドル相当の超大型契約を結んだばかりで、マイクロソフトやアルファベット（GOOGL）のグーグルといったハイテク大手とも、高度な人工知能アプリケーションの構築に向けて広範な協力協定を結んでいます。
シースリー・エーアイの現在の市場評価額はわずか20億ドルで、バランスシートには10億ドル以上の現金と短期投資があるため、投資家は同社の中核的なAI事業をわずか10億ドルと評価していることになります。
これは、同社の2022年度の推定売上が2億5200万ドル、最近の第3四半期時点の残存履行義務が4億6,900万ドルで、前年比90%増に跳ね上がったにもかかわらず、です。株価は割安となっており、多様な顧客基盤を持つことから、AI業界の将来に賭けるには最適な銘柄のひとつと言えます。
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アップスタート・ホールディングス（UPST）
消費者金融事業はここ数十年あまり変化しておらず、ほとんどの銀行はいまだに30年前のFICOスコアリングシステムに頼って借り手候補を評価しており、信用度を判断するためにほんの一握りの主要な指標しか見ていません。
アップスタート・ホールディングスは、人工知能を活用して1,600以上のデータポイントを調べ、借り手をより正確に表現し、70%の確率で即決することで、状況を一変させようとしています。アップスタートによれば、そのアルゴリズムにより、従来の審査方法と比較して、同じ承認率でデフォルトが75%減少しているとのことです。
同社は無担保の個人向け融資からスタートしましたが、現在は自動車向け融資を急速に拡大しています。2021年末時点で、アップスタートの販売とローン組成の2in1プラットフォームを利用する自動車ディーラーの数は410社で、2020年末と比較して269％の伸びを記録しました。
同社の年間売上高は264％増の8億4,900万ドル、1株当たり利益は2.37ドルに急騰しました。IPO後1年少しの銘柄でありながら、この高成長人工知能企業は利益も出しているのです。
その成長には大きな期待が寄せられており、シティグループのあるアナリストは、現在100ドル（3月11日終値）のアップスタートの目標株価を350ドルに設定しているほどです。
＊過去記事はこちら アップスタート UPST
スプランク（SPLK）
スプランクはフォーチュン100社のうち92社にサービスを提供している機械学習の有力企業で、その成長は、あらゆる業界で先進技術の需要が高まっていることを浮き彫りにしています。
スプランク の顧客の 1 つであるドミノ・ピザは、機械学習を使用して 15 以上のデジタル販売チャネルを監視し、リアルタイムでデータを採取して分析しています。スプランク はその情報を基にインサイトを提供し、ライブ環境での問題予測や迅速な改善を支援しています。
同様に、自動車メーカーのホンダは スプランクのインサイトを活用し、プラットフォームの予測分析によってアラバマ州の施設の修理時間指標を 70% 削減し、コストのかかるシャットダウンを防いでいます。
スプランクは現在、事業の転換期を迎えています。クラウドでのサービス提供に注力することで、よりアクセスしやすくなり、売上の急増につながっています。終了したばかりの同社の2022会計年度では、全体の売上が19％増だったのに対して、クラウドベースの売上は70％増となりました。スプランクのクラウド売上高9億4300万ドルも、前年度は全体の24％に過ぎませんでしたが、26億7000万ドルの総売上高の35％に拡大しました。
スプランクは、大口顧客の獲得も進めています。2022年度には、年間100万ドル以上を費やす顧客が675社となり、2021年度と比較して32％増加しました。
SaaS（ソフトウェア・アズ・ア・サービス）の収益モデルの経験を持つ新CEOも就任し、スプランクが次の成長段階へと移行することが期待されています。
＊過去記事「年末のラリーで上昇が期待できる出遅れ株3つ」
アルファベット（GOOG／GOOGL）
人工知能は、インターネット・ユーザーに最も正確な結果を提供するGoogleの能力の中核をなしているものです。
検索とは、単にクエリに答えることではなく、検索者がGoogleにフレーズを入力したときに実際に何を意味しているかを解読することです。Googleの言語モデルは、ユーザーがスペルミスや文法ミスをした場合、わずか3ミリ秒で6億8,000万ものパラメータを処理し、より正確な検索語を提供することが可能です。
Googleにおける人工知能の活躍は、それだけにとどまません。Googleは、クラウドベースのツール群を通じて、顧客の技術構築を支援しています。その中には、必要なプログラミング作業を最大80%削減できる、事前に学習済みの機械学習モデルも含まれています。例えば、データ分析、画像分類、ビデオディスカバリーなどのモデルを作成する際に、開発者に大きなアドバンテージを提供します。
アルファベットは1兆7000億ドル規模の企業で、2021年には売上高が2,570億ドルを超え、2020年比で41％の成長を遂げています。そのうち192億ドルは、人工知能部門を顧客向けにホストしているGoogleのクラウド事業が生み出したもので、年間では47％という速いペースの成長率を記録しています。
この数字を見ただけでもAI関連銘柄をポートフォリオに加えようとする時に欠かせない銘柄であることがわかります。
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レモネード（LMND）
レモネードは、AIを活用して保険業界の顧客体験を抜本的に見直そうとしており、これまでに140万人以上の顧客を獲得することに成功し、その多くはレモネードのはるかに大きな競合他社から乗り換えた人たちです。
人工知能は同社の中核であり、オンラインボット「Maya」は、人間の入力なしに90秒以内に保険の見積もりを提供することができるように力を発揮しています。さらに、保険金請求は顧客にとって最大の不満の種となりがちですが、Mayaはこの点についてもカバーしており、わずか3分で保険金の査定と支払いを行うことができます。
レモネードは5つの保険カテゴリーで事業を展開していますが、最大のビジネスチャンスは自動車保険です。2021年にその市場に参入し、途中で同じAIを搭載した保険会社メトロマイルを買収し、米国の49州の免許と10年分の有用なデータを手に入れました。
レモネードへの投資は、同社はまだ事業の基盤を構築している段階であるため、リスクを伴います。株価は、ハイテク企業全体が売られている中で82％下落しましたが、これは長期的なポジションを取るチャンスかもしれません。
レモネードは2021年に2億4,600万ドルという多額の損失を出しましたが、自動車保険市場は2022年だけで3,160億ドルのチャンスとなり得るため、十分な時間があれば、同社の業績は好転する可能性があります。
実際、JMP証券は、現在18.83ドル（3月11日終値）で取引されているレモネードの株価が404％上昇して95ドルになる可能性があると見ています。
＊過去記事はこちら レモネード LMND