アップルなどのビックテックが今の市場では最高のディフェンシブ銘柄?

アップル株をはじめとする大手ハイテク企業は、2022年になってから厳しい局面が続いていましたが、それが変わろうとしているのかもしれません。

シティは3月2日、米国株と世界のITセクターの評価を「ニュートラル」から「オーバーウエイト」に格上げしました。これは、S&P 500指数と、2022年に厳しいスタートを切ったアップル(AAPL)、マイクロソフト(MSFT)、エヌビディア(NVDA)といった大手ハイテク企業に対して、投資銀行が強気姿勢を取り戻したことを示すものです。

S&P500は1月初めから8.5%下落、米国上場ハイテク企業の代名詞であるナスダック総合株価指数も13%下落し、ともに調整局面に入っています。

米国株も世界のハイテク株も「最近の実質利回りの急低下から少なくとも相対的には恩恵を受けるはずの成長株だ」と、ロバート・バックランド氏率いるシティのストラテジストチームは述べています。

実質利回りとは、ベンチマークである米国10年債のような債券の利回りを、インフレの影響から割り引いたものですが、インフレ調整されていない債券の利回りと同様に、実質利回りも低下しています。

2022年に1.51%で始まった10年債は、2月上旬に2%を超える水準に急騰しました。債券利回りの上昇は、将来の現金の現在価値を割り引きます。多くのハイテク株は数年先の利益を当てにした評価に依存しているため、利回りの上昇はハイテク投資家にとって悪いニュースでした。

今年に入ってからの利回り上昇は、米連邦準備制度理事会(FRB)が近く大幅な利上げと金融引き締めを開始するとの観測に市場が反応したことによるものでした。しかし、最近では、ロシアのウクライナ侵攻による混乱の中で、債券利回りは低下しています。

10年債は2月28日に1.73%を割り込みましたが、これは今年初め、S&P500が下落に転じる前、あるいはハイテク企業の株価が本格的に下落する前に見られた水準です。ウクライナにおける紛争がもたらす経済の不確実性に直面し、トレーダーはFRBがかつて考えられていたほど積極的でなくなるとの見方を強めています。

実質利回りの低下の背景には、紛争による原油価格の高騰で商品市場が動揺し、インフレ期待が高まる一方で、金利期待が債券利回りと連動して低下しているという構図があります。

3月2日の10年物実質利回りは-0.97%でした。ドイツ銀行のストラテジスト、ジム・リード氏によれば、この水準は1月初旬にFRBの議事録で中央銀行が予想以上にタカ派的な姿勢を示したことを示唆し、市場を動揺させた時の水準を下回っています。

「実質利回りの崩壊は、最近の非常にネガティブな出来事によるリスク資産への打撃を和らげるのに役立っただろう」とリード氏は述べています。

シティのグループも同意見で、これを買い場と見ています。バックランド氏率いるストラテジストチームは、「成長株は実質利回りの上昇で打撃を受けたが、それが反転すれば恩恵を受けるはずだ」と述べ、「したがって、2つの古典的な成長株(米国株、ITセクター)をオーバーウエイトに戻した」としています。

「ウクライナでの困難な出来事にもかかわらず、世界の株式はかなり堅調だった」とシティのストラテジストチームは述べ、損失が金融やロシアに直接さらされる銘柄に集中していることを指摘。そして、過去の地政学的危機の後、世界株式は10~20%上昇して終わっていることを強調し、依然として「押し目買い」をしたいと考えているとしています。

同様に、Quant Insightは3月3日付けのノートで、「激動する市場に足を踏み入れる準備ができている投資家にとって、米国のハイテク株は効率的な防衛策に見える」と書いています。

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