アマゾンが2月3日に発表した第4四半期決算で投資家が注目すべきポイントは2つです。
*「アマゾン AWSと広告の好調な業績、プライムの値上げで急騰」
広告事業の売上の公表
ひとつは最近の記事で何度か紹介したとおり、アマゾンが各四半期に生み出す広告収入の額を知ることができるようになったことで、その実力が実際のデータで裏付けられるようになったことです。
これまでCFOブライアン・オルサフスキー氏は、その他の収入が「主に」(または同様の言葉を使って)広告収入で構成されていると述べていました。
2021年第4四半期の広告収入は、前年同期比32%増(恒常為替レートベースでは33%増)の97億ドルでした。これは、アマゾンの同四半期の総売上高の7.1%にあたります。
この32%増という数字はとても素晴らしい成績ですが、実態はそれ以上に好調です。と言うのも比較対象となった前年同期(2020年第4四半期)は、同社の年次イベント「プライム・デイ」が同四半期に開催されたことによる恩恵を受けた四半期だったからです。
2021年はこのイベントが第2四半期に開催されたため、その恩恵を受けていません。そんなハンデがありながらも30%を超える成長を遂げたことはアマゾンの広告事業がいかに好調かを示すものです。
アマゾンは広告事業の収益性を公表していませんが、同社の事業全体よりもはるかに収益性が高いことは間違いありません。つまり、第4四半期の売上高全体に占める広告収入の割合は7.1%ですが、営業利益全体に占める広告収入の割合はもっと高いと思われます。
フェイスブックの親会社であるデジタル広告の巨人メタ・プラットフォームズ(FB)は、2021年第4四半期に326億ドルの広告収入を計上しました。この数字は前年同期比でわずか20%の伸びで、同社の総収入の97%を占めています。
アマゾンの広告事業は、メタの広告事業の3割程度の規模しかありません。しかし、今のペースでアマゾンの広告事業の成長が続けば、両者の差はどんどん縮まることになります。
サプライチェーン危機への対応に目処
もうひとつのポイントは世界的なサプライチェーンの危機をアマゾンがうまく切り抜けたことがあきらかになったことです。
オルサフスキーCFOは同社の取り組みを以下のように説明しています。
「第4四半期に予想していたサプライチェーンの問題に対処するために、私たちは多くのことを行いました。ベンダーと協力して早期に在庫を確保し、場合によっては早期に支払いを済ませることで、運転資本に影響を与えました。また、港や船の容量にかかわらず、国内への既存の流入経路を確保するために懸命に取り組みました。」
パンデミックに起因する世界的なサプライチェーンのボトルネックは、小売業者や製品を輸入する多くの企業を悩ませています。
アマゾンもこれらの問題と無縁ではありませんが、その規模と懐の深さから、このようなサプライチェーンの問題を管理する上で、より有利な立場にあると言えます。
オルサフスキー氏が言うように、同社は通常よりも早めに在庫を購入しました。しかし、すべての企業が、アマゾンのように商品を事前に仕入れる余裕があるわけではありません。
その点、アマゾンは2021年に事業を運営して463億ドルの現金を生み出すという有利な立場にありました。その所有する現金および現金同等物は365億ドルで年末を迎えています。
投資家にとっての朗報は、オルサフスキー氏が、同社が現在、サプライチェーンの問題を 「完全にパス しているわけではないが、第1四半期には(サプライチェーンが)大きな問題になるとは思っていない」と述べたことです。
*過去記事はこちら アマゾン AMZN