アップル(AAPL)が小規模事業者が追加のハードウェアなしにiPhoneで直接支払いを受け付けられるようにする新サービスを計画しているとブルームバーグが報じています。
アップルは2020年頃から新機能の開発に取り組んでおり、クレジットカードをタップするだけでスマートフォンが決済を受け付ける技術を開発したカナダのスタートアップ「Mobeewave」に約1億ドルを支払っています。このシステムには、現在Apple Payに使用されているiPhoneの近距離無線通信(NFC)チップが使用されるようです。
現在、iPhoneで決済を行うためには、iPhoneに接続したり、Bluetoothで通信したりする決済端末を使用する必要があります。今度の機能は、iPhoneを決済端末に変えるもので、フードトラックやヘアスタイリストなどのユーザーは、クレジットカードや別のiPhoneを端末の背面にタップするだけで支払いを受け付けられるようになります。
この動きは、市場を支配しているブロック(SQ)のスクエアのように、アップルのiPhoneに依存して販売を促進している決済プロバイダーに影響を与える可能性があります。
アップルがどのようなアプリにも新技術の使用を認めれば、スクエアは自社でハードウェアを用意することなく、アップルのデバイスを介して支払いを受け付け続けることができます。一方、アップルが加盟店にApple Payや独自の決済システムの使用を求めれば、スクエアと直接競合することになります。
この報道を受け、1月27日に米国市場がオープンした直後には、ブロックの株価が3.4%下落し、アップルは2.1%上昇しました。
この機能を開発しているチームは、Mobeewaveから引き抜かれて以来、アップルのペイメント部門で働いていますが、この支払い方法がApple Payの一部としてブランド化されるかどうかは不明だそうです。また、アップルがこの機能を既存の決済ネットワークと提携するつもりなのか、単独で開始するつもりなのかも明らかではありません。
アップルは今後数ヶ月のうちにソフトウェア・アップデートによってこの機能の提供を開始する可能性があると関係者は述べています。同社は近い将来、iOS 15.4の最初のベータ版をリリースする予定で、早ければ春には消費者向けの最終リリースが行われることになりそうです。
アップルは、3月か4月にも5Gを搭載したiPhone SEとiPad Airを発売する予定で、さらにアップルのカスタムプロセッサを搭載した新しいMacも発売するとブルームバーグは報じています。
アップルは近年、決済への取り組みをエスカレートさせており、2019年に米国で「Apple Card」を発売し、同年末にはクレジットカード上でアップルデバイスの分割払いプランを展開しています。また、デジタルピアツーピア決済用のカード「Apple Cash」も提供しており、Apple Pay向けに、モノを買って後から分割払いできるようなサービスの開発に取り組んでいると、昨年、ブルームバーグが報じています。
Mobeewaveの決済受付技術を搭載したデバイスは、iPhoneだけではありません。アップルに売却される前にこのスタートアップを支援したサムスンは、2019年に自社の端末にタップでクレジットカードを受け付けられる機能を実装しています。
*過去記事はこちら アップル AAPL