ショッピファイは2030年に1兆ドル規模の株になる?

電子商取引のプロバイダーであるショッピファイ(SHOP)の時価総額は1,720億ドルで、史上最高値から約20%下落しています。1兆ドル企業になるためには、今の株価から5.8倍値上がりしなければなりません。しかし、過去3年間の実績では株価は1,080%増加し、1兆ドル企業になるために必要なリターンの2倍以近いペースで成長しています。

ショッピファイは、新しいビジネスを販売当初の状態から活況を呈するビジネスへと導くことができるエコシステムを構築しています。

ショッピファイは、ブランディングツールや無料のロゴ作成機能により、新規事業を迅速に立ち上げることができます。スタートアップには資金が必要ですが、ショッピファイの基本プランでは、基本的なツールに月額29ドルしかかかりません。ビジネスの成長に合わせて、ショッピファイには異なる機能やより有利な取引条件を提供する複数の価格帯があります。ショッピファイでは、ビジネスの継続期間中、ソフトウェアの使用をやめることにはなりません。

ショッピファイの長期的な取り組みとして、フルフィルメントネットワークがあります。企業は、全国にあるショッピファイの倉庫に商品を送り、ショッピファイが注文の処理と発送を行います。これにより、在庫に必要なスペースが減り、企業は限られたスペースをより多くの商品を作るために使うことに集中できます。

ショッピファイは2019年、ロボット倉庫技術を持つ6 River Systemsを買収することで、フルフィルメント機能を加速させました。駆け出しのビジネスでは、この機能はそれほど有用なものではないかもしれませんが、中規模、さらには大規模ビジネスには優れた効果をもらたすもので。

ショッピファイは国際的なソリューションにも取り組んでいます。企業が国境を越えて販売を行う場合、異なる通貨、税金、言語、さらには支払い方法に対応しなければなりません。ショッピファイ・マーケッツ はテスト段階にありますが、すべてのビジネスに門戸を開いて開始されれば成功するはずです。

広大で便利なプラットフォームを持つショッピファイが、四半期ごとに優れた業績を上げているのは当然のことです。第3四半期のショッピファイは、商品総量(GMV)を35%増の418億ドルに拡大しました。売上は46%増の11億ドルでした。売上高の伸びがGMVの伸びを上回ったことは、ショッピファイのサブスクリプション・ソリューションがまだ健全に成長していることを示しています。

第3四半期の1株当たり利益9.18ドルは、アファーム(AFRM)のIPOへの投資によるもので、ショッピファイは有機的な利益を上げていません。その代わりに、できるだけ多くの市場シェアを獲得することに注力しています。利益が出ていないことに失望する投資家もいるかもしれませんが、ショッピファイはあらゆる機会を捉えようとしていますので、長期的な投資家は期待できるはずです。

ショッピファイの経営陣は第4四半期のガイダンスを発表していませんが、第3四半期と同じ成長率45%を適用すると、通期の売上は46億ドルになります。異なる成長率を適用することで、ショッピファイが将来どのくらいの売上を生み出すのかを把握することができます。

売上成長率2025年予想売上2027年予想売上2030年予想売上
25% 98億ドル160億ドル263億ドル
35% 131億ドル261億ドル520億ドル
45% 175億ドル423億ドル1,024億ドル

ショッピファイの上場企業としての四半期ごとの売上成長率は最低でも45%ですが、規模が大きくなってもその割合で成長するのは難しいだろうと思われます。それでも、ショッピファイを利用するマーチャントがより多くのアイテムを販売すれば、ショッピファイはより多くの収入を得ることができます。

また、ショッピファイの新しいセグメントは、より多くのボリュームを持つ大規模なビジネスに対応しています。よって、優れた売上成長を実現できると考えるのは無理なことではありません。35%の売上成長率に異なるP/S比を適用すると、異なるバリュエーションになります。

P/S比2025年の時価総額2027年の時価総額2030年の時価総額
15 (公開企業としての最低評価)1,960億ドル3,910億ドル7,800億ドル
253,270億ドル6,520億ドル1兆3,000億ドル
354,580億ドル9,130億ドル1兆8,210億ドル
45 現在の評価額)5,890億ドル1兆1,740億ドル2兆3,410億ドル

この表は、いくつかのポイントを示しています。まず、ショッピファイはより低い評価額と35%の成長率で2030年以前に時価総額1兆ドルクラブに加わることができます。

もう一つ表れていることは、長期的には評価額の重要性が低くなるということです。仮にショッピファイの評価額が過去最低になったとしても、3年間のリターンはほぼ横ばいになるでしょう。その後は、成長が引き継がれ、意味のあるリターンが得られます。

これは非常にシンプルな評価モデルですが、成長と評価によって企業の将来の時価総額がどのように決まるかを理解する目的には十分です。

35%の成長率を使用することはアグレッシブに見えるかもしれませんが、ショッピファイには開発中の多くの垂直市場があります。また、マーチャントがより多く販売することでGMVが増加し、ショッピファイは利益を得ることができます。

ショッピファイが2030年までに1兆ドルの閾値を超える可能性は非常に高いと思われます。たとえ7年かかったとしても、年率29%の株式リターンは素晴らしい投資であり、市場全体の成長を容易に上回る成果になるはずです。

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