ゲーマーやコンテンツ・クリエーター向けに高性能機器を提供しているコルセア・ゲーミング (CRSR)は、ここ数年、ビデオゲーム市場の関連の売上の急増から恩恵を受けています。
上半期までの年間収益ランレートが20億ドルを達成し、これは2019年に発生した11億ドルの約2倍にあたります。ガイダンスでは、2021年の売上は2020年に比べて12%から23%増加するとしています。
パンデミックで家にこもる環境のなかでビデオゲームへのエンゲージメントが前例のないレベルにまで高まった2020年には55%の成長を実現しましたが、そのあとに続く今年も前年を大幅に上回るとあって、このガイダンスには非常に強い印象を受けます。
ただ、経営陣としては、長期的な目標としてゲーム周辺機器ビジネスの拡大に伴う市場シェアの獲得による成長をより重視しています。
アナリストたちは、今後数年間は利益が拡大すると見ており、2021年のコルセアの1株当たり利益は1.79ドルになるとのコンセンサス予想が出ています。
成長中のゲームハードウェア市場におけるコルセアの主導的地位に基づき、株価は実績PER17と割安に見えます。現在の株価は26.4ドルで、2022年のEPS予想である1.91ドルと比較すると、PERはさらに低下します。
サプライチェーンの問題に関連する目先の不確実性が、市場が今のコルセア・ゲーミングを好まない理由の1つですが、業界における長期的な追い風が、今後3年から5年の間にこの株を大幅に押し上げる可能性があります。
パンデミックにより、多くの業界で輸送コストの上昇や製品不足が発生しています。このような混乱にもかかわらず、コルセアは前四半期、売上が前年同期比で24%増加するという素晴らしい結果を出しました。しかし、その数字はアナリストのコンセンサス予想をわずかに下回ったため、決算後に売りが出ました。
株価を圧迫しているもう一つの問題は、パンデミック時のコルセアの売上の多くが低価格製品によるものだったことです。コルセアは、高価格帯のプレミアム製品で知られており、トップシェアを誇っています。しかし、これらの高価格帯の製品は現在不足しており、これが前四半期の売上未達の原因となっているようです。
供給不足が解消されるのは来年になるかもしれませんので、コルセアの2021年の売上成長率は、経営陣のガイダンスレンジの下限になる可能性があります。プラス面としては、経営陣が第2四半期の決算説明会で、高価格帯の製品の供給がすでに改善され始めていると報告したことが挙げられます。
2021年以降に目を向けると、供給面での制約があるため、今後数年間に途方もない需要が滞留する可能性が高まるばかりです。
パンデミック以前に比べて、ゲームをプレイし、その様子をストリーミング・プラットフォームで配信する人が増えています。ロジテックのStreamlabsによると、アマゾンのツイッチにおける平均同時視聴者数は、第2四半期に前年同期比で28%増加しました。放送用に設計された照明やウェブカメラの販売を含むコルセア・ゲーミングのクリエイター向け周辺機器部門が、第2四半期に41%の増収を記録したのも当然のことです。
それに加えて、半導体が大幅に不足しているため、プレイヤーがエヌビディアやAMDの最新グラフィックカードにアップグレードするには非常に高い費用がかかります。
これにより、コルセアのゲーミング&コンポーネント部門の売上が圧迫されています。コルセアは、ゲーマーがPCを構築したりアップグレードしたりする際に購入するパーツを供給しており、一部のプレーヤーは新しいグラフィックスカードを購入する際にこれを行います。多くのプレイヤーは、今はこのようなアップグレードを行うことができませんが、将来的には市場に戻ってくるでしょうから、コルセアのビジネスにとっては好都合です。
コルセアがヘッドセットやその他のゲーム用必需品を時間をかけて大量に販売していくと予測されるのには、3つの理由があります。
・市場調査会社のNewzooによると、ゲームをプレイする人の数は、2019年の26.4億人から、2024年には33億人に達すると推定されること
・ツイッチが3四半期連続で視聴者数の記録を更新するなど、ゲームのライブストリーミングは、ますます長期的な成長市場になりつつあること
・ソニーの「プレイステーション 5」やマイクロソフトの「Xbox Series X」は、販売店で常に在庫切れの状態が続いており、ゲーム機市場では今、大きなアップグレードサイクルが起こっていて、これらの新型ゲーム機のインストールベースが増加すると、新しいゲームアクセサリの需要が高まること
これらのトレンドは、今後数年間にわたってコルセア・ゲーミングの需要が拡大することを示していますが、現在の株価は、2022年の業績予想に基づくフォワードPER15という割安な価格で取引されています。このような低いバリュエーションであれば、投資家は今後5年間で資金を2倍にできる可能性が十分にあると思われます。