先週の木曜日、7月15日の夜にS&P Globalはモデルナ(MRNA)をS&P500に加えると発表しました。
Embed from Getty ImagesS&P500に6社しかないバイオテック株の1つであるアレクシオン・ファーマシューティカルズがまもなくアストラゼネカに買収されてしまうため、その代わりとして白羽の矢が立ちました。
7月21日の市場オープン前にモデルナはS&P 500に加わることになります。
この報道を受けて、モデルナは7月16日に10%以上上昇、7月19日の取引ではさらに5%上昇して取引されています。
今後、モデルナの株価はどのような展開を見せるのでしょうか。過去にS&P500に追加された他の銘柄で何が起こったかを見ることで、予想することができます。
2021年にはこれまでに、買収やスピンオフ、時価総額の変更などにより10銘柄がS&P500に追加されています。
その中で最も新しい事例は、オルガノン(OGN)です。S&Pグローバルは5月27日、メルクからスピンオフしたこの医薬品メーカーを、6月4日付でS&P500指数に追加すると発表しました。
オルガノンの株価は、発表日から指数に加わるまでの間に4%程度しか上昇しませんでした。そして、その後、この製薬会社の株価は15%近く下落しています。
5月10日、チャールズ・リバー・ラボラトリーズ(CRL)が5月14日付でS&P500指数に加わることが発表されました。CRLは、S&P500に採用されるまでの数日間、少し下落しました。しかし、S&P500に採用された後、17%近くも上昇しています。
NXPセミコンダクターズ(NXPI)の株価は、3月12日のS&P500への採用発表から3月22日のS&P500への採用までの間に約10%上昇しました。これは、モデルナの株価が7月16日に跳ね上がったのとほぼ同じレベルです。では、NXPはどうなったのか。株価はその後ヨーヨーのように上下し、現在は5%の下落となっています。
以上のように、S&P500指数に加わった銘柄のパフォーマンスは、それぞれの銘柄に異なる力学が働いており、明確なパターンを見極めるのが難しいことがわかります。
確かに、S&P500指数に連動する投資信託や上場投資信託(ETF)は、モデルナの株式を保有銘柄に加えなければなりません。しかし、彼らはモデルナのインデックスへの追加が発表される前から、ある程度はそのポートフォリオにすでに追加しているのではないでしょうか。
今、モデルナ株にとって最も重要なことは、先週の7月15日以前に最も重要であったことと全く同じです。その重要な要素とは、同社のCOVID-19ワクチンの需要がどのように維持されるかということです。
S&P500への採用の発表前までの数週間から数ヶ月間の株価の推移を見ると、投資家はモデルナのワクチンに対する需要はかなり強いままであると予想しています。
その見方が正しいかどうかは、コロナウイルスの変異型に対する効果かがどうかということにかかっています。
これまでのところ、モデルナのCOVID-19ワクチンは、デルタ変異型や、懸念される他の変異型に対しても、比較的よく持ちこたえているようです。しかし、そう遠くない将来に、少なくとも一部の人には追加投与が必要になる可能性があります。また、現在のワクチンでは効果が著しく低い他の亜種が発生する可能性もあります。
モデルナがS&P500のメンバーであり続けるためには、時価総額が上位500銘柄に入るだけの大きさを維持しなければなりません。
これが実現するかどうかは、同社のCOVID-19ワクチンの継続的な需要にかかっています。そしてその需要は、コロナウイルスの亜種がパンデミックにどのような影響を与えるかに大きく左右されます。